3月24日に行われたサンフェレッチェ広島戦でも零封負けを喫し、開幕3連敗で最下位に沈む鹿島アントラーズ。チーム全体の歯車が噛み合っていないのは明らかだが、中でも無得点が続く攻撃陣は深刻だ。

筆者はかれこれ13年程鹿島アントラーズを応援してきたが、ここまで危機的な状況はなかったように思われる。今回の当コラムでは不振に喘ぐ攻撃陣に喝を入れる意味も込めて、今シーズンの鹿島アントラーズの鍵を握る選手たちを紹介していきたい。

・遠藤康「有望株から攻撃陣の柱へ」

遠藤は鹿島の将来を背負って立つべき選手だ。そのことは、入団時にスカウト部長の椎本邦一氏から「今は(MF)本山が着けているけど、将来は(遠藤に)着けてもらいたい」と記念撮影用に背番号10のユニフォームを手渡されたことや、今シーズンの開幕前にヴィッセル神戸へと移籍した野沢拓也が若手時代に背負っていた「25」を与えられていることからも分かることがである。

そんな若手有望株である遠藤が台頭したのが2010年シーズンであった。開幕戦の浦和レッズ戦でアシストを記録し幸先良いスタートを切ると、モンテディオ山形戦では2ゴールの大活躍を披露。ACLでもゴールを奪うなど、今後に大きな期待を持たせるシーズンとなったのだ。これらの活躍でチャンスを掴んだ遠藤は翌2011年シーズンのリーグ戦で30試合に出場。入団から5年が経ち、主力と呼べるだけの力を着実に付けてきたと言えるだろう。しかし、昨シーズンの遠藤の出来は、鮮烈な印象を残した2010年シーズンに比べると、あまり良いものではなかったと筆者は感じた。それは「ゴール前での迷い」が遠藤に生まれていたからだ。昨シーズンの遠藤にはゴール前でシュートを撃つべきか、それとも味方選手にパスを送るべきかの判断に一瞬の遅れが生じていた。(この一瞬の迷いはコンマ何秒の世界で生きるサッカー選手にとっては致命的なものである)そのため、筆者には怖いもの知らずの2010年シーズンの方がのびのびとプレー出来ていたように思えたのだ。

だが、昨シーズンまでの攻撃的MFの主力であった野沢拓也(ヴィッセル神戸)、フェリペ・ガブリエル(ボタフォゴ)がそれぞれ移籍した今シーズンはそのようなプレーに終始してしまってはいけない。積極的に仕掛け、ゴールに絡む決定的な仕事をコンスタントにこなさなければいけないだろう。サッカー人生最大のチャンスで大きく羽ばたくことができるか。遠藤のプレーぶりには大いに注目していきたい。

・興梠慎三「捲土重来を期すシーズン」

興梠にとって昨シーズンの数字(リーグ戦31試合で4ゴール)は到底満足できるものでは無かったはずだ。チャンスメイクの場面では秀逸な動きを披露するものの、肝心のゴール前ではシュートミスを連発。それは、かつて岡田武史氏(杭州緑城監督)をして「興梠は将来、日本代表のエースになる」と言わしめた男とは到底思えないものあった。そして、迎えた新シーズンも川崎フロンターレから移籍してきたジュニーニョ、Uー23日本代表でレギュラーを張る大迫の後塵を拝している。

この状況は興梠が最も輝いていた2009年シーズン(リーグ戦32試合に出場し、キャリアハイの12ゴール)を知る者にとっては、大変悲しいものであるだろう。だが、フォワードの選手というものは、突如として長いトンネルに突入することが往々にしてある事を忘れてはいけない(チェルシーに所属する世界屈指のストライカー、フェルナンド・トーレスでさえ長い間ゴールを決めることができなかった)。

興梠の裏に抜けるスピード、抜群の運動神経はJリーグでも指折りのものであることは間違いないことであり、後はゴールという結果をピッチの上で出すこ とによって失われた自信を回復するだけだろう。野性味溢れる背番号「13」が躍動する瞬間を一試合でも早く「興梠コール」を送るサポーターに見せて欲しいところだ。

2012.3.25 ロッシ

※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。


筆者名 ロッシ
プロフィール 鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援している大学生。今シーズンはプレミアリーグを中心に観ていく予定です。当コラムに関する、感想、意見等がありましたら、下記のツイッターアカウントにどしどしお寄せ下さい。
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