現地時間2日、マンチェスター・ユナイテッドはベルギー代表MFマルアヌ・フェライニとの契約を結んだと発表した。

移籍マーケットの最終日、今年もとびきりのビッグディールが実現した。かねてよりユナイテッド移籍の噂があったフェライニが、ついに恩師モイーズ監督の元へと活躍の場を移したのだ。英国国営放送『BBC』は今回の移籍金を2,750万ポンド(およそ43億円)と伝えており、その移籍金の高さからフェライニへの期待の大きさも窺い知ることができる。

そんなフェライニのユナイテッド移籍を受け、熾烈なポジション争いに巻き込まれたのが香川真司だ。先日のリヴァプール戦ではベンチ外の扱いを受け、さらにはフェライニという強力な新加入選手が加入したとなると、さすがの香川も昨年ほどの出場機会は与えられない可能性がある。翌年にW杯を控える日本代表にとっては、実に悩ましい問題でもある。

では、香川がポジション争いをするこのフェライニとは、一体どんな選手なのだろうか?いま最もホットなこのベルギー人MFを紐解くことにしよう。

マルアヌ・フェライニは1987年11月22日生まれの25歳。モロッコ人の両親に生まれたがベルギー育ったため、ベルギーとモロッコの二重国籍を所有。代表チームではベルギー代表を選択している。スタンダール・リエージュではヴィツェルやデフールと黄金の中盤を形成し、2008年にはベルギー年間最優秀アフリカ人選手賞『Soulier d'Ebene』を獲得した。

フェライニといえば、なんといってもその独特なアフロヘアーが目印だ。ボリュームに差こそあれ、ここ数年連続してこの髪型を維持しており、自身のお気に入りでもあると言う。エヴァートンのホームスタジアム、グッディソン・パークでは度々アフロヘアーのカツラを装着したサポーターが目撃されており、恒例の応援スタイルとして人気を博していた。

フェライニのストロングポイントは、その強靭なフィジカルにある。194cm85kgという大柄な体格のため体幹がしっかりとしており、よほどのことがない限り体のバランスを崩すことはない。また、特別小技があるわけではないが足元の技術もしっかりしており、しっかりとボールを収めることができる。

さらにフェライニといえば、空中戦で抜群の勝率を誇る。昨シーズンの開幕戦のユナイテッド戦では、マッチアップするあのネマニャ・ヴィディッチに完勝。見事、自身のヘディングによる決勝点でエヴァートンを勝利に導いている。前線に張っている際には相手に競らせさえしない体使いが特徴で、胸でボールを落としその懐の深さを見せた。エヴァートンでは常に攻撃の起点になり、果敢にペナルティエリア内へと侵入を試みた。シュートへの積極性はきわめて高く、細かな振りからシュートコースがなくても狙ってくる。精度も高く、キック力も強い。得点力の高い攻撃的ミッドフィルダーとして、現在世界的にも評価されているタレントである。

フェライニは守備的ミッドフィルダー、セントラルミッドフィルダー、そして攻撃的ミッドフィルダーとしての起用が考えられる。エヴァートンではトップ下に入りどんどん攻撃参加したいたイメージが強いが、ベルギー代表では3センターの一角として、比較的淡々とプレーしている印象がある。つまり、中盤の中央付近であればどのポジションでもプレーが可能で、味方を活かすことにも味方に活かされることにも対応できる総合力の高いMFとも言える。いずれにしても、モイーズ監督にとって選択の幅が広がったことだけは確実である。

こちらは、3試合の出場停止処分を受けた昨シーズンのヘッドバットのシーン。チャリティ企画として髪をシルバーカラーに染めることもあった。

フェライニが所属するベルギー代表は現在W杯予選で首位を走っており、黄金世代擁する同チームが来年の本大会に参加する可能性は高い。もっと言ってしまえば、このフェライニが日本代表の前に立ちはだかるという可能性も十分にある。

フェライニの加入により、いっそう注目度を増した今シーズンのマンチェスター・ユナイテッド。やや出遅れ気味である赤い悪魔に、フェライニはいかなる化学変化をもたらすのだろうか。

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