開幕が間近に迫ってきた2014年度ワールドカップ。ひとつのルールのもとで、ひとつのボールを蹴り合り、それを目にしている世界中のファンも、人種や文化を超えたフェアな戦いに一喜一憂する。

しかし、そんな前提を、カネと暴力という力で崩そうとする者たちもまた、この輝かしい舞台の影で暗躍している。

2010年南アフリカ大会。その開幕を前にした親善試合で、驚くべきほどの大胆な手口で、八百長は行われていた。

FIFAの機密文書を独自入手したというニューヨーク・タイムズ紙が警鐘を鳴らす。世界的イベント、ワールドカップがはらむ脆弱性とは・・・

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フィンランドの都市、ロヴァニエミ。 2011年、警察署に現れた男は異常な情報を持ってきた。彼は警官に伝えた――『シンガポールの男性が、この地方のプロサッカーチームの試合を操作している』と。

警察は懐疑的だった。

北極圏にあるこの都市は、サンタクロースの故郷として有名だ。トナカイ、妖精、聖ニコラウスを扱ったテーマパークが街の自慢だ。アジアのカップルにとっては、オーロラの下で愛を誓い合うための一般的な観光地だ。

ロヴァニエミは多くの物事で知られている――しかし、それは決して組織犯罪の事ではなかった。

週末には狩りを楽しむ調査官、アルツ・グラナト氏はこう話した。

『その数日後、我々はその情報が正しいということを理解し始めた。従って、我々は監視チームを構築し始めた』