ワールドサッカーダイジェスト等でおなじみのスペイン人ジャーナリスト、ヘスス・スアレスは歯に衣を着せない発言で知られている。

スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(バルセロナ)を「世界最高」とべた褒めする一方で、スぺクタルではないと彼が決めつけたものには偏見の塊とも言える批評が待ち受けている。ローマやイングランド代表で指揮をとったファビオ・カペッロの様な手堅い戦術は「語る価値がない」とはねのけ、バロンドールを獲得したファビオ・カンナヴァーロについても「並のDF」という。日本では、過去に2冊の「○○への挑戦状シリーズ」を出しているが、前書にあたる「欧州サッカー 名将への挑戦状」では

「まさしく、モウリーニョは勝利者なのだろう。ペップ・バルサを打ち破ったことは賞賛に値する。 モウリーニョは信念を貫き勝利したわけで、その精神力も名将と呼ぶにふさわしい。 しかし、それでも私は言い切る。 モウリーニョはフットボールには敗れている
(欧州サッカー 名将への挑戦状より)

とジョゼ・モウリーニョ(チェルシー監督)を一刀両断し話題となった。

そんなヘスス・ スアレスがワールドカップ前を発売した「英雄への挑戦状―世界最高のサッカー選手論」。本書でもその勢いはとどまることを知らない。

-クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)について
私は、ポルトガル人スターについてはしばしば苦言を呈している。 「リーガ得点王に輝き、あまつさえバロンドールを受賞しているような選手をなぜこき下ろすのか?」 そう呆れかえる人もいた。 しかし私は、C・ロナウド自身を批判するよりは、彼に対する的外れな論調にもの申したかった。得点能力が高いことは、フットボーラーとしての才能とイコールでは結べない。その点を主張したかった。一人のアスリートとして肉体能力で相手を打ち負かす、という部分でC・ロナウドは突出しているが、フットボールインテリジェンスにおいては、アンドレス・イニエスタやシャビ・エルナンデスと比ぶべくもない。 彼はフットボールを創る選手としては凡庸の域を出ない。
(p.147-148より)

「CRをそう言い切るへスス・スアレスさんの思いきりの良さが気持ちいい」と編集の中林氏をもいわしめる”いつもの調子”でぶった切ったかと思えば、

-ルイス・スアレス(リヴァプール)について
もし一人の女性に巡り会っていなければ……スアレスはプロフットボーラーにはなっていない。おとぎ話のような物語が彼にはあった。 (中略) スアレスには15歳の時から付き合う、当時12歳のソフィアという女の子がいた。彼は彼女に夢中だった。フットボールの他にはソフィアしか必要ない、むしろソフィアのためになら、彼はフットボールさえ捨てられただろう。 「二人はモンテビデオで出会い、スアレスは一目惚れだったらしいよ」 そう語っているのは、ナシオナルのスカウト部門にいるウィルソン・ピレスだ 「一度、私はスアレスが道ばたで落ちているお金を必死に探し、拾い集めているのを見たことがあった。なんとかして、彼女にプレゼントを買うためだったようだね。 彼女のためなら、誇り高いあいつがどんなに恥ずかしいこともできたのさ
(p.158より)

「ダーティーなイメージのあるルイス・スアレスのほっこりする意外なエピソード(同・中林氏談)」と、過去の感動秘話までほじくりだしている。

本書ではティボー・クルトワ、チアゴ・シウバ、フィリップ・ラーム、アンドレア・ピルロ、ルカ・モドリッチ、アンドレス・イニエスタ、アリエン・ロッベン、リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、ルイス・スアレス、ディディエ・ドログバ、イケル・カシージャス、メスト・エジル、ネイマール、ズラタン・イブラヒモビッチ(表記は書籍内に準ずる)に焦点を当て、ヘスス・ スアレス流の綴りが200ページ以上に渡って繰り広げられている。ブラジル・ワールドカップの空き時間を使ってご一読いかがだろうか?

【商品名】 英雄への挑戦状
【紹介文】 「君の言いたいことはわかったよ。 でも、少しは譲歩したほうがいい」 インタビュー中に選手からそう窘められるほど ヘスス・スアレスは、とても頑固な男である。
【ISBNコード】978-4-8094-1228-8 C0075
【著者】ヘスス・スアレス+小宮良之/著
【価格】本体1,500円+税
【発売】2014年5月下旬
【仕様】四六判 並製 240頁

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