「サッカー世界最強大陸」

この言葉を聞いてあなたが思い浮かべたのは欧州だろうか?南米だろうか?

世界の何処で誰に聞いても、恐らく返ってくる返事はこの二つの内どちらかだろう。

過去20回のW杯優勝回数においても、欧州約50カ国で11回、南米約10カ国で9回、その他約140カ国で0という結果から、もはや議論の余地はない。しかし、日本で目にする海外サッカー情報の多くは欧州である。試合放送、ニュースでのハイライト、選手移籍。

代表レベルは同等でも先進国である欧州の方が上手く放映権を売ったり、エンターテイメントとして南米のそれより一歩も二歩も上手だ。巷でサッカー好き、サッカーに詳しいと言われる方でさえ、欧州の本田選手、香川選手は知っていても、南米には疎い。

しかし、南米で指導者をしている私は声を大にして言いたい。

南米にも"サムライ"がいる」のだと。

ブラジル。ここには約100年前、多くの日本人が移住し、今でも世界最大の日本人街がある。子孫の日系人まで合わせると、約160万人がブラジルにいるとされる。

(日本祭りの様子)

その中にはブラジル社会に溶け込み、サッカーにおいても成功をおさめた人物もいる。「Luis Kumai」日本語表記だとルイス・クマイ。40歳。日系2世だ。

彼は現在、南米最強クラブを決めるリベルタドーレス杯で準優勝した事もある、名門アトレチコ・パラナエンセ(Clube Atlético Paranaense)でスーパーバイザーをしている。約5年間は管理部門とサッカー部門、今年からU15のスーパーバイザーとして、幅広い見識を活かして活躍する。ブラジルの名門クラブで働いていながら、実は日本での就労経験もある。流暢な日本語を操り、約8年間、日本の会社でのオペレーターや通訳をしていた。

その経験も活かしたいとクマイさんは語る。

「以前の日本滞在で私は日本が大好きになりました。日本とブラジルのサッカー界を繋ぎ、両国に貢献出来たら私も幸せです。いずれは日本に帰って日本の力になりたいと思っています」

日本のクラブと、ブラジルのクラブの練習試合、選手移籍、通訳、指導者交流、選手留学・・etc。彼にしか出来ない事も多いはずだ。