▼ あのキリノが「アジア枠」?

先日、かつてコンサドーレ札幌や湘南ベルマーレで活躍したブラジル人FWキリノがJ1のヴァンフォーレ甲府へと加入した。

キリノといえばその特徴的なヘアースタイルが印象深いが、圧倒的なスピードでこれまでJリーグの舞台でも結果を残してきた。残留争いを強いられる甲府にとってかけがえのない戦力になることだろう。

ところで、今回ヴァンフォーレ甲府に加入した際に話題になったのが、 「キリノが東ティモール国籍を取得したため、アジア枠での起用が可能になった」ということである。

「アジア枠」とは、言ってみればAFC圏内の選手流入を奨励するための登録規定である。Jリーグには他にも3名の「外国人枠」が存在するが、この「アジア枠」は「外国人枠」には含まれない。そのため、すでにマルキーニョス・パラナ、クリスティアーノ、ジウシーニョという3人のブラジル人選手を抱える甲府は、この「アジア枠」でキリノを加入させたのだ。

しかし、だ。

もちろんキリノはブラジル生まれのブラジル育ちである。東ティモールへの居住経験はないようだし、そこにルーツがあるという情報もない。さらに、もっと謎なのは 「アジアはアジアでもなぜ東ティモールだったのか?」ということである。キリノはこれまで日本や韓国、UAEでもプレーしており、そういった国の方が彼にとっては馴染みがあるはずなのだ。

このニュースを聞いた多くの人がその背景について疑問を浮かべたことは間違いない。そこで今回は筆者が持っている情報を少し整理してみたい。あくまで整理である。多くの期待は禁物であるが、きわめて興味深いことも判明している。