豊富な資金力を背景に各国から選手を集めているイングランド。欧州列強の資金的なパワーバランスは崩れ、フランスやオランダといった国はもとより、イタリアやスペインで二けた得点を挙げたストライカーがイングランドへ移籍するというのがルートの1つとして確立しつつある。しかも、移籍先はマンチェスター・ユナイテッドやアーセナルといった強豪チームばかりではない。プレミアリーグはおろか、今やチャンピオンシップ、リーグワンのクラブチームでさえ各国で評価を高めた選手たちがステップアップの場としてイングランド下部リーグを選んでいるのだ。しかし、活躍するかどうかは別の問題なようで…。今回は昨年、二桁得点をあげ今季、イングランド下部へ挑戦したストライカー達の今季の様子をお届けする。

活躍組

■キケ(レアル・ムルシア→ミドルズブラ)
昨季はムルシア(スペイン2部)で41試合23ゴールをあげたストライカー。今季のフル出場は6回と多くないもののエースストライカーとして既に5得点をあげており、ミドルズブラをプレミア昇格圏内の3位にまで押し上げる原動力となっている。

スペインU-20代表歴があり、エリア内で得点をとることに特化した様な抜け目のないストライカー。頭足両方からゴールを狙えるタイプでイングランドの正統派ストライカーを彷彿とさる。マッチしやすいタイプか。

■イゴール・ヴェトケレ(FCコペンハーゲン→チャールトン)
FCコペンハーゲン(デンマーク)で29試合13ゴールをあげたストライカー。今季のチャールトンでは既に8ゴールをあげており昨年以上の成績を残すことは確実視されている。

ベルギーのユース代表歴を持つが、5月にアンゴラ代表を選択。小柄ながらボディバランスが良く、跳躍力や敏捷性、加速力といった黒人特有の高い身体能力を武器にしている。また、ゴール前に入り込む動きにも長け、柔らかい体から無理な姿勢からでもゴールが狙っていける。身長こそ低いが、プレミアリーグ向きの高いフィジカルを擁していると言える。

■ミルコ・アンテヌッチ(テルナーナ→リーズ・ユナイテッド)
テルナーナ(セリエB)で19ゴール+精神的支柱として主将も務めたストライカーだが、今夏シーズン開幕後にチームへ合流するとエースストライカーとして5ゴールをあげている。

シュートまでの引き出しが豊富で、少ないタッチ数でもゴールを決められるストライカー。

■カイル・ラファーティ(パレルモ→ノリッジ・シティ)
昨季パレルモ(セリエB)で11ゴールをあげた。北アイルランド代表ということもあり、レンジャーズやバーンリーに在籍経験があり、イングランド復帰組となる。

ここまで12試合ノーゴールはストライカーとしては物足りないか。元々、プレースタイル的に長身で強さ高さ速さがあるのだが、得点をとるというよりはウィングとして中へ切れ込んだり、ポストプレーをこなしたり、献身的に守備をしたりとどちらかというとチームのために働く選手。ノーゴールではあるが、役割がストライカーでないだけでチーム的には+になっている。