Qoly読者の皆様、初めまして。座談会をご覧になった方はお久しぶりです。

この度こちらのサイトでコラムを書かせて頂くことになりました、 黒崎 灯(あかり)と申します。

結城康平さん、db7さんの座談会補佐としてQolyさんに関わらせて頂いてから、結城さんに文章を校正して貰ったりしつつ、文章力を高めることを目標に毎日を送っています。

イングランドのサンダーランド大学でスポーツジャーナリズムを勉強しているので、ここで得た知識もコラムにも取り入れていきたいと思っております。


『ファンタジスタ』という漫画をご存知だろうか。

あれは、筆者が小学生くらいの頃だったろうか。日韓W杯を控え、国中が世界最高峰の祭典の開幕を待ち望んでいた中、当時『週刊少年サンデー』で連載されていた草場道輝先生の『ファンタジスタ』という漫画を、すり切れるほど読んだものだった。天才的なスキルとアイディアを持ち合わせておきながら戦術には無頓着。天真爛漫な主人公である坂本徹平の成長と活躍を、ワクワクしながら読み続けていたものだ。

現在、筆者の留学先であるイングランドでは、アスリートと形容すべきフィジカルに長けた選手たちが、ピッチを狭く見せるほどに激しくぶつかり合い、ハイレベルなプレーを見せてくれる。俊敏性とアイディアに長ける「てっぺい」のような選手が活躍出来るリーグか、と問われると少し懐疑的になってしまう。

それでも、今シーズンからアーセナルに加入したチリ人FWアレクシス・サンチェスについて取り上げたイギリスの雑誌「FourFourTwo」の特集記事は、私に「てっぺい」の影を想起させた。

2015年のサッカー界におけるスターと、10年近く前に描かれた天才フットボーラー。2人のイメージが、偶然にも重なったのである。今回は、筆者の見つけた「坂本徹平」と「アレクシス・サンチェス」の5つの共通点を踏まえながら、アレクシス・サンチェスというプレイヤーの辿ってきた半生と、彼の持つ意外な引退後の野望までを、皆様にお届けしたいと思う。

もちろん、『ファンタジスタ』を読まれたことがない読者の方にも坂本徹平の人柄やプレースタイルが伺えるよう、各共通点で作品の設定やストーリーにも言及させて頂いた。アレクシス・サンチェスのみ、または漫画のみご存知の方でも楽しんで頂けるはずだ。

それでは、アレクシスの幼少時代から覗いていこう。

【次ページ】2人のプレースタイルを形作ったもの…