フットボールクラブの間にあるライバル関係というのは、地理的な要因が元になっていることが少なくない。現在、筆者が留学しているサンダーランドは、イングランド北東部で最大の都市ニューカッスルから電車で30分ほど揺られた先にある。

距離にして約15キロ、それほど離れているというわけではない。日本の都市で例えるなら、横浜と川崎くらいの距離である。単純にスタジアム間の距離なら、ガンバ大阪の本拠地である万博記念競技場と、セレッソ大阪のヤンマースタジアム長居とほぼ同じである。だからこそ、サンダーランドとニューカッスルの両者を比べると、その差は明確に現れる。

この2つの都市を比較する際に、よく引き合いに出されるのが対照的な「光と影」だ。歴史的に、サンダーランドという都市はニューカッスルの後塵を拝してきた。17世紀に、炭坑の利権を元に栄華を極めたニューカッスル。彼らの繁栄によって生まれた輝かしい光は、隣町サンダーランドを影へと追いやった。サンダーランドで育った人々にとって、ニューカッスルという都市はまさに、「目の上のたんこぶ」なのだ。

今回は歴史の深い英国のフットボール界でも、「最凶」のダービーとして知られるニューカッスルとサンダーランドの闘いである「タインウェアダービー」を取り上げたいと思う。留学している1人の日本人学生が感じた、現地の人々のこのダービーに対して抱える思いを、少しでも皆様にお届けしたい。残念ながら、非常に競争率が高かったため、試合のチケットを入手することは出来なかった。

それでもスタジアムの外から見て、感じたこのダービーの熱量は凄まじいものがあった。その本場の熱気を、少しでもQoly読者の皆様に伝えたいと思い、今回は筆を取らせて頂いた次第である。それでは早速、現地時間4月5日へと時計の針を戻してみよう。