評価が難しい選手というのはどこにでもいる。得点力はないが、それ以外の貢献がすさまじいFWやその逆、また好不調の波が大きい選手というのも評価が分かれてしまうきらいがある。

そんな議論を今にわかに巻き起こしているのが、マリオ・ゲッツェだ。

昨年世界王者へと導くゴールを決めた男がなぜとお思いになる方もいるかもしれない。

彼の問題はドイツ代表でのパフォーマンスとクラブでのそれの差である。代表ではきらりと輝く才能を見せつけるが、バイエルンではくすんだままだ。

しかし、昔からこの種の選手はおり、今に始まったことでない。ただ、それはストライカーに多く起きる現象であった。

代表に呼ばれれば点が取れるが、クラブに戻ると点が取れない、その逆もしかりだ。私に言わせればゴールは水物であり、このようなことが起きることはさして不思議ではない。そこに大きな要因はないのではないかとすら思う。

しかし、ゲッツェのようにボールをよく触りたがる(もちろんよく点も取るが)選手がこうなってしまうことにはきっと原因があるはずだ。

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