広島のフォーメーションは大エース・佐藤寿人を頂点とするお馴染みの3-6-1。そのなかでドウグラスが配置されたのは「シャドー」と呼ばれる1.5列目の右サイド、FWともMFとも形容し難いポジションだ。

ドウグラスは184cmと長身でリーチがあり、スピード、技術、左足での決定力に優れた選手である。ただ「外国人の助っ人にお任せ」して独力でゴールを奪えるほどの強烈な力はなく、戦力的に劣る徳島のなかでも存在感を示すことができなかった。

しかしシャドーで起用されたことにより、最前線で体を張り時にゴールに背を向ける役割から解放された。さらに味方のサポートが格段に増え、1.5列目から前を向いてゴール前に飛び込むことが容易になり、そのなかで本来持っていた高いシュート精度を発揮できるようになったのである。

覚醒のきっかけはあった。ドウグラスは昨年、半年間プレーした京都で川勝良一監督の下右サイドやトップ下で起用され5ゴールを決めているが、このチームの頂点にいたのが寿人と似たタイプの大黒将志であった。

そして、広島は細かくパスを繋ぐことで短所を補い合い、外国人に過度に依存せず結果を残してきた「日本人的」なチームである。それがかえって「助っ人としては頼りない」が、真面目で献身的なドウグラスが予想以上にフィットすることに繋がった(と筆者は推測する)というわけだ。

今シーズンの開幕戦で途中出場から初ゴールを決めたドウグラスはその後レギュラーを獲得し、2ndステージの第9節、そしてこの最終節でハットトリックを達成。積み重ねたゴールは3年連続得点王に輝いた大久保嘉人(川崎フロンターレ)の23に次ぐ21ゴールで、2ndステージに限れば全体トップの15ゴールであった。

わずか1年前までJ2でも「微妙」だった男が、今や「Jリーグ最高の助っ人」へと変貌を遂げたのである。