今シーズン限りで、16年間在籍した浦和レッズを退団することが決定していた鈴木啓太。

先月20日に自身のFacebook上で発表されたその決断は多くのJリーグファンを驚かせた。

そして迎えた22日のJ1セカンドステージ最終節。ホーム最終節ということで神戸戦の試合後、埼玉スタジアムでは鈴木啓太の退団セレモニーが行われた。

チームキャプテンとして長くクラブを支えた鈴木の登場に、浦和サポーターは「オーレーオレオレオレー 啓太ー啓太ー」という地雷のようなチャントで出迎える。

その後、チームメイトで同じアテネ五輪世代にあたる阿部勇樹と那須大亮が花束を贈呈し、鈴木はマイクの前へ。そこで口にしたのは、抑えることのできない「浦和愛」だった。

鈴木 啓太(浦和レッズ)

「たくさんの方に支えられた16年間。

浦和レッズの選手としてプレーできたことを、本当に誇りに思っています。ありがとうございました。

16年前、このクラブと契約した日のことを忘れることはできません。

あの日から浦和レッズの一員としての人生が始まり、たくさんの素晴らしい選手たち、たくさんの素晴らしい人と一緒にサッカーをすることに恵まれました。

僕は上手な選手ではありません。

自分自身のプレーに苛立つこともたくさんありましたが、それでもチームのため、仲間のため、浦和レッズの勝利のために走り続けてきたことは僕のプライドでした。

"We Are Reds!"と叫び一緒に戦ってくれたサポーターの声が、苦しい時も辛い時もいつも僕の背中を押し、前に進むための力になっていました。本当に感謝しています。

この真っ赤に染まるスタジアムを離れる時が来てしまったことは、とても寂しいです。

でも、この場所でリーグチャンピオンをとり、シャーレを掲げ、アジアの頂点を掴み、人生で最も情熱に溢れた時間をみんなと過ごすことができて最高に幸せでした。

ここで皆さんに報告があります。

私鈴木啓太は、今シーズンをもって引退することを決断しました。

どうしても自分の言葉でファン、サポーター、仲間、クラブスタッフ、浦和レッズに関わってくださっている皆様、僕の愛する人たちに直接伝えたくてこの場所で発表することにしました。

サッカー少年がプロサッカー選手として成功することを夢見て静岡から出てきましたが、いつからか『おまえは浦和の男だ』、『俺たちの鈴木啓太だ』と認めてもらえたことが本当に嬉しかったです。誇らしかったです。

僕の心には浦和以上に愛するチームがありません。

だから僕は、プロサッカー選手として浦和の男で始まり、浦和の男で終わります。

16年間、本当に大きな声援、大きな愛情をありがとうございました。

まだシーズンは続きます。もう一度チームとして全力で戦いますので、皆さんの熱いサポートを宜しくお願いします。

今日はありがとうございました」

退団セレモニーという場で、現役引退を発表した鈴木。その理由は、「浦和以上に愛するチームがありません」という浦和レッズへの底抜けない愛情だった。

そして、紡ぎだされた言葉の一つ一つは浦和サポーターに“刺さる”ものであった。サポーターから認められたというエピソードは、浦和のファンでなくても涙してしまいそうだ。

こうして文字起こしをしてみると、鈴木が話したこの文章がどれほど文語的にも整っているかが分かる。おそらく、事前に一言一句をしっかりと準備してこの場に臨んだのではないだろうか。

浦和への愛情はもちろんのこと、鈴木啓太というサッカー選手のプロフェッショナリズムを感じる感動的な挨拶であった。