まずは、ジャンピエロ・ガスペリーニ。3-4-3の使い手として知られる彼は、ガレオーネ門下の1人だ。

守備を重視する相手を、研究した攻撃によって崩すという姿勢を持ったガレオーネの信念を継ぐ彼は、手数をかけたサイド攻撃に真価を持つ。まるでスペインを思い起こさせるような独特な崩しを得意とする戦術家は、インテルミラノでは思わしい結果を残せなかったものの、現在はジェノアへ戻って牙を研いでいる。

次に、マルコ・ジャンパオロだ。

ガレオーネ門下でも、最もアイディアに秀でた彼は、2011年のチェゼーナでの高速カウンターなど、攻撃面において多くの手札を持つ。しかし一方で、チームの中心となる戦術を構築するのが苦手という課題があるため、ガレオーネ門下生の中でも結果に恵まれてはいないものの、現在エンポリを率いて健闘中。数年後に、上位クラブで見たい指揮官の1人でもある。

そして、最後となるガレオーネ門下生最大の大物がマッシミリアーノ・アッレグリだ。

ガレオーネ門下生に共通する攻撃面でのアイディアの豊富さ、モダンな崩しのシステム構築に加え、イタリア人指揮官らしい守備の緻密さも兼ね備える若手指揮官は、カリアリでの指導を評価されて一気にACミランへ。3センターの使い手は、何度となく欧州の舞台でバルセロナを苦境へと追い込み、柔軟な守備によってヨーロッパでも名を知られる指揮官へ。

アントニオ・コンテが率いた3連覇のユベントスを継ぐ、という難しいミッションを課せられたにも関わらず、昨季はヨーロッパの頂点にまで手をかけるなど、文句の無い結果を残した。今季はピルロ・ヴィダルなど多くの主力が欠けて苦しんでいたものの、復調の兆しを見せている。

ガレオーネの攻撃における研究を重視する姿勢を守備にも適応し、相手に合わせて様々な守備体系を使い分ける姿は、ガレオーネ門下生の最高傑作と呼んでも差し支えないだろう。

【次ページ】稀代の戦術家、グイドリン