特に前半25分までのリヴァプールのプレスは絶品で、レスターの選手がパスを狙う回数1.75回に1度、リヴァプールはプレスをかけていた事になるという。

このデータからは前半、凄まじい強度でリヴァプールがプレスをかけていたことが解るはずだ。これが、ユルゲン・クロップの狙いだった。サイドでの起点を潰すこと。実際マフレズに対するプレッシングはかなりの精度で成功しており、レスターの攻撃の起点を容赦なく潰していたことが解る。特に驚異的だったのはコウチーニョ、エムレ・ジャン、モレノによるマフレズ対策だ。

これは、3人がマフレズを取り囲んだ場面である。ここではジャンではなく、2トップの一角であるフィルミーノが戻って守備に参加している。彼の守備貢献には引用したページでも触れていたが、是非前半3分に見せた異常なまでの守備を見て欲しい。少し話は逸れるものの、彼の貢献は予想以上のものだった。

12秒前、彼はGKへのバックパスへとプレッシャーをかけている。

GKのシュマイケルがボールを蹴り、そこで競り合いなどが起こっている間、彼は一目散に自陣へ。ここでは画面の左端に現れており、3秒後にはマフレズのボールを奪いに向かっている。この献身性は、異常なものだった。コウチーニョとフィルミーノ。守備が苦手だと言われていた2人のブラジル人アタッカーが、クロップの指揮下では忠実な兵隊と化している。

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