レスターに中央からの攻め手が少ないことを見越した戦術は攻撃面とも関連していて、エムレ・ジャンの左サイドへの攻め上がりで相手を押し込んだ。ジャンが外側寄りのポジションを取ることは、ボールを奪われた際にサイドでのプレッシングを強化することにも繋がる。

これは得点の起点になった場面だが、ボールに触っていたのはエムレ・ジャン。中央のポジションに残るだけでなく、左サイドへと出ていく動きによってレスター・シティを押し込んでいった。

レスターは基本的に2トップでボランチをマークするシステムを取るのだが、1ボランチがサイドに上がっていってしまう事は大きな混乱を引き起こした。

2トップの片方が付いて行ってしまうとカウンターの威力は半減するし、中盤に任せていいのかも解らない。プレスの基準点となる前線の迷いは、全体のバランスを崩してしまった。

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