人前に出る職業は、なかなかつらいものだ。人は歳を取るにしたがって、最も目立つ場所をカバーしてくれるものを失ってしまう。

そして、それをカバーしようと何かを被らせてしまえば――急に増えたということで疑われてしまうのだ。

山に生えている木々は毎年葉を落とし、そして再び繁らせるというのに。なぜ我々人間は、人生を半分も終えていない段階で繁らなくなっていくのか……

そんな時の流れに逆らってきたスポーツ選手、そして監督をご紹介しよう。

スティーブ・クラリッジ

ポーツマスの下部組織で育ったスティーブ・クラリッジは、イングランド代表の経験は持っていないものの、英国サッカーファンには有名な選手だ。

プロ、セミプロ問わず様々なクラブに所属し、出場した試合は1000以上。しかも2011年に現役に復帰したとき、彼はもう45歳になっていたのである。

そのシーズンにはセミプロとはいえ11試合で4ゴールをあげているのだから、まさしく「レジェンド」であった。

一時期は喜び勇んで髪を伸ばしていたが、最近はまた短く揃えている。飽きたのだろうか。

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