その一方で不安も?

「補強」が効果を発揮しているパリ・サンジェルマン。元々それほどレギュラーでなかったリュカ・ディーニュに関しては、レイヴァン・クルザワに代わってもそれほどプラスでもマイナスでもない。穴埋めとしては高価であったが、カタールの資金力があればそれほど問題でもないだろう。

ただ、このチームにはいくつかの穴がある。

▼バックアップとの差は意外に大きい

強豪クラブだけに、ほとんどのポジションには2名の人員が揃っている。前線にはイブラヒモヴィッチ、カバーニ、ルーカス、パストーレ、ディ・マリア、オーギュスタンで6名。

中盤にはマテュイディ、ラビオ、スタンブリ、モッタ、ヴェッラッティ、そして兼任のパストーレ。バックスにはチアゴ・シウヴァ、ダヴィド・ルイス、キンペンベ、マクスウェル、ファン・デル・ヴィール、オーリエ、クルザワ、そしてサイドとセンター兼任でマルキーニョス。

ただ、最終ライン以外は決してバックアップとの差が小さいクラブとは言えない。ラベッシがいなくなったことはさらにその傾向を高めている。

ズラタン・イブラヒモヴィッチは絶対的な存在であり、サイドに追いやられて不満を溜めているというカバーニも彼とのコンビで多くの得点を生み出している状態だ。今はカバーニ1人を使って信頼できる状況にはない。

パストーレは継続的な出番がないなかで怪我もあり、パフォーマンスが上がらない状況で、使いにくい存在になってしまっている。

また、中盤もそうだ。

フルメンバーならばチアゴ・モッタ、マテュイディ、ヴェッラッティが使われるところだが、これがアドリアン・ラビオ、バンジャマン・スタンブリに代わると一気にチームの能力が低下する。

特にヨアン・キャバイの代わりと期待されたスタンブリはなかなかチームに溶け込むことが出来ておらず、この3人のバックアップとしては使いにくい状況だ。

アドリアン・ラビオは、もちろんユース育ちなだけにスタンブリより馴染んでいるが、彼をマテュイディやヴェッラッティの代わりとして使うとチームのダイナミズムが乏しくなってしまう傾向がある。

そして、上記のレギュラーの3人は皆怪我を抱えており、現在は完全な状態とは言えないのである。

チーム批判で謹慎となったセルジュ・オーリエに関しては、今月末には戻ってくる予定であり、ファン・デル・ヴィールでもそれほど大きな問題にはならないだろうが・・・

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