パリ・リヨン駅周辺のカフェでコーヒーを飲んでいたところ、気のいいパリジャンと同席した。そこで知った“哲学カフェ”こと「Café des Phares」を尋ねてみた。

サッカー関係者であのカフェを利用した人間がいるか?という問いに対し、パリジャンが「若き日のルディ・ガルシアが学生時代に通っていたようだよ」と教えてくれたからだ。

哲学カフェはバスティーユ広場に所在する。哲学者マルク・ソーテが1992年に設立した「Café des Phares」は、コーヒーを嗜みながら議論をする場として現在も重宝されている。元々、フランス革命も「カフェ」が民主的討論の舞台となり、そこから広がっていったものだと言われる。

個人主義を大事にしながらも議論を好むパリジャンは、このカフェを愛して止まないのだ。

滞在先のホテルとバスティーユ広場の間に、ヴィアデュック・デ・ザール(芸術高架橋)という橋が見えたので、ファインダーに収めてみた。1969年に廃線となった鉄道が通っていた橋であり、現在は観光名所として有名だ。赤煉瓦で彩られた美しい橋は、この上に登って歩くことも出来る。

バスティーユ広場に足を踏み入れると、すぐに哲学カフェは見えてくる。オープンテラスに並べられた椅子へ腰を下ろし、コーヒーを注文した。

すると、隣のパリジャンが「君は中国人かい?」と尋ねる。「私は日本人で、EURO2016の取材に来た」と答えた。

他愛無い会話を交わすと、なんと彼はこの哲学カフェに20年ほど足繁く通ってきた「生き証人」であったのだ!偶然の出会いに感謝しつつ、私はルディ・ガルシアについて尋ねてみた。

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