練習後や試合後に部屋に閉じこもる、かつてのシャイな青年の姿はもう見られなかった。

10月6日の北朝鮮代表との親善試合で逆転勝利(5-2)の狼煙となる同点弾を決めたベトナム代表MFグエン・トゥアン・アイン(21歳)は、8か月の日本での生活を経て大きな成長を遂げていた。

グエン・トゥアン・アインは6日の北朝鮮戦に臨むため、3日に帰国。僅か4日間のベトナム滞在だったが、ピッチ内外で見せたパフォーマンスは、かつてのチームメイトやファンたちを大いに驚かせた。

ピッチでは、1点を先行された前半32分に相手DF3人に囲まれながらも狭いスペースでボールをコントロールして右足を一閃。シュートは必死に横っ飛びした北朝鮮の守護神リ・ミョングクの手をかいくぐって、サイドネットの内側を揺らした。グエン・トゥアン・アインにとって、これが記念すべき代表初ゴール。これで勢いづいたベトナムは、強豪北朝鮮を5-2で下した。

グエン・トゥアン・アインが日本に渡って既に8か月。日本のディフェンダーの早い寄せに慣れたため、この場面でも非常に落ち着いてボールを処理することができた。しかし、チームメイトらが最も驚いたのは、こうした技術的な成長よりも内面的な変化だという。

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