残留は最低限のミッション

アルビレックス新潟は決して予算が潤沢なチームではない。入場料と広告料を合わせた収入額でも毎年二桁順位を記録している。こうした残留力の源はどこにあるのだろうか?

2015年 J1営業収入ランキング

1位 浦和 60億8800万円
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10位 清水 31億4200万円
11位 新潟 25億1000万円
12位 鳥栖 24億8900万円
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最終節サンフレッチェ広島戦で、1トップで先発したFW鈴木武蔵は「残留は僕たちが最低限やらないといけないミッション」だと言う。実際に名古屋グランパスが負けている状況とわかれば、自分たちが負けていても大野和成を守備固めで入れるほどの現実的サッカーをする。

アルビレックス新潟がJ2の時から一貫したやり方であり、当時の反町康治監督が植え付けた運動量を豊富に「走り」守備をきっちりしてからカウンターというサッカーはずっとチーム戦術として生き残っている。今季のチームの走行距離はJ1で116.371km(3位)と高い位置につけた。

2016年J1 平均走行距離ランキング 

順位 走行距離 チーム 
1 117.985km サガン鳥栖(11位) 
2 116.684km 湘南ベルマーレ(17位、降格) 
3 116.371km アルビレックス新潟(15位) 
4 114.690km FC東京(9位)
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(詳しくはこちら参照のこと)

もう1つは熱いサポーターである。かつて無料チケットを大量に配布したことが「水増し」「バラマキ」にあたるのでは?と問題視された。

これについて池田弘社長は、インタープライズ・コンサルティングのインタビューにおいて「水増しと言われようが、僕たちは、そんな数字どうでもよくて、極端に言えば、本当のサッカーファンを増やせればそれでいいんですよ」と語り、後の有料客につなげることに成功した。平均観客数が40000人を超えたこともあり、入場数は歴史的に良い数字である。

今季の2ndステージでいえば平均22625人であり4位の数字にあたる。これより上位はFC東京、浦和レッズ、ガンバ大阪しかいない。決して大都市ではない新潟でこの数字は驚異的である。

2016 J1 2ndステージ平均入場者数

1位 浦和レッズ 40067人
2位 FC東京 25909人
3位 ガンバ大阪 24176人
4位 アルビレックス新潟 22625人
5位 川崎フロンターレ 22263人
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こうしたサポーターの熱さは実際の行動に移されることも多い。今季ではゲン担ぎでカツを食べるプロジェクトが作られ大きな話題となった。

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