映画の冒頭は、二人にインタビュー形式で質問する流れだ。言葉一つ一つに熱気を放つキーンと、冷静に優等生的な解答をするヴィエラと対照的だった。映画序盤の見せ場は「彼らにとって最高の監督とは」という質問だ。ヴィエラは当然ヴェンゲルと答えるのだが、キーンは予想に反した返答をする。なんと、ユナイテッドを常勝軍団に育て上げた名将アレックス・ファーガソンではなかったのだ。キーンが誰を最高と評したのかは、映画祭に足を運んで確認して頂きたい。

この映画の魅力は、知られざる情報が所々にあるところだろう。特に、2002年5月に敵地オールド・トラッフォードで優勝したアーセナルについてのエピソードが熱かった。引き分けでも二冠を達成できる状況で、最強のライバルであるユナイテッド相手に攻めの姿勢で挑む。この時の状況を明確に話すヴィエラのパッションは必見だ。さらに、キーンはファーギーとの確執や2002年ワールドカップ不出場のトラブルも赤裸々に語ってくれた。両チームのファンにとって、目から鱗間違いなしのエピソードが彼らの対談に詰まっている。そして、二人の語らいは緊張感とリスペクトが共存する形で絶妙な距離感を生み出している。彼らしか知り得ない選手時代のやり取りは、当時の二人を知るファンは満足すること間違いなしだ。

当映画最大の見せ場はキーンとヴィエラが選ぶアーセナルとユナイテッドのベストイレブンだ。キーンが選ぶ選手は闘争心と情熱を押した人選であり、ヴィエラは理にかなったパスワークを重視したチームを選出。この対照的な二人がアーセナルとユナイテッドを併せたベストイレブンを作るシーンは痛快だった。1990年後半から2000年前半のプレミアリーグを観戦していたファンなら、ノスタルジックな興奮を抑え切れないだろう。

ヨコハマ・フットボール映画祭2017は2月11日から17日(14日は開催しない)まで開催される予定。会場はみなとみらい駅付近のMMテラス、ブリリアショートシアター、みなとみらいスポーツパークで映画上映やイベントが行われる。日本初公開となる「キーンとヴィエラ」の上映日は2月12日11時、2月15日19時40分(アーセナル限定上映)、2月16日20時25分(マンチェスター・ユナイテッド限定上映)となっている。是非、サッカーフリークは横浜に足を運んでサッカー映画を堪能して頂きたい。

【外部リンク】ヨコハマ・フットボール映画祭2017
【外部リンク】「キーンとヴィエラ」特設ページ

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