今季フランス・リーグアンを圧倒的な攻撃力で席巻しているモナコ。

3シーズン目となるレオナルド・ジャルディン監督はどちらかといえばバランスを重視する指導者だが、そのプレッシングと得点力のミックスがこの結果を呼んでいる。

そして、その中でゴールの量産体制を整えているのが、一度は「終わった選手」とも言われた“エル・ティグレ”ラダメル・ファルカオだ。

かつては世界最高のストライカーと呼ばれたものの、モナコ移籍後に大きな怪我を負い、ワールドカップ出場を逃した。

本調子に戻らないままプレミアリーグへの挑戦を行ったが、マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーではほとんどプレーできず、フランスへと戻ることになった。

しかし、31歳になった今季の彼は全く違う。リーグ戦21試合で16ゴール、公式戦全てを計算すれば、30試合で24ゴールを記録しているのだ。

今季の彼はなぜそんなに凄いのか?モナコの試合を継続的に見ている方ならば分かっていると思われるが、「身体能力の衰えに頭がついてきた」ことに尽きる。

通常衰えというのは徐々にやってくるものだ。しかし、彼は怪我によって一気にフィジカルのレベルを落とすことになったため、そこに脳がなかなかアジャストできなかったのだと思われる。

昔のハイライトやゴール集と比較するだけでも、今季のプレーはスタイルがかなり違うことに気づくだろう。ドリブルで仕掛けたり、強引にコースを開けたり、フェイントを入れたりすることは全くない。ただフリーになってゴールに決める点だけを考え、常にワンタッチ、ツータッチでネットを揺らしているのだ。

また、トマ・レマールやベルナルド・シウヴァ、ヴァレール・ジェルマンなど運動量に長けている選手が周りを固められることも大きい。若い選手とのマッチングも非常に素晴らしい状況だ。

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