こんにちは、駒場野です。

4月17日、東京の日本サッカー協会(JFA)ビルで第97回天皇杯の開幕記者会見が行なわれました。

最初は主催者であるJFAの田嶋幸三会長、天皇杯実施委員会の松崎康弘委員長(JFA常務理事)、スルガ銀行代表取締役社長兼CEOの岡野光喜氏の3人による発表会見。続いて、今年の元日の決勝戦に勝って天皇杯を獲得した鹿島アントラーズの石井正忠監督と植田直通による天皇杯返還セレモニーが行なわれました。

この席で、今回の天皇杯についての概要が改めて紹介されました。

今回も決勝は2018年の1月1日、場所は初めて埼玉スタジアムです。ウィキペディアによると埼玉県内での決勝開催は、第36回大会の1956年5月6日に埼玉県営陸上競技場を使って以来、61年ぶりとのこと。この時に通算6度目の優勝をしたのは慶應BRB、前回のコラムで扱った東京ユナイテッドFCの母体の一つです。

会見の中で強調されていたのは、初めてサッカー専用スタジアムでの開催となった吹田での前回決勝の成功です。

田嶋会長は「鹿島はクラブW杯のようなクオリティを見せてくれたし、観客も一体となって盛り上げてくれたので、歴史的な試合になった」と称賛しましたし、石井監督も「サッカー専用スタジアムでやる意味を感じたので、来年の元日も同じ専用スタジアムでこれを味わいたい」と話しました。

また、松崎委員長からは新日程の説明がありました。1回戦を4月開催に前倒しして、Jリーグチームに代表選手がいる時期の水曜日に天皇杯を準々決勝まで進めるようにしたそうです。田嶋会長は「これでベストなチームが出せる。収益の面では(土日開催と比べると)マイナスだが、カップ戦を水曜に定着させる事でサッカーのクオリティを上げたい」という意向を示しました。

アマチュアも「強化費」として受け取れる大会賞金は増額され、優勝すると5割増の1億5千万円に。また、Jリーグでは審判の判定についてクラブとの話し合いを進めていますが、この天皇杯の試合も対象に含めるというのも、審判出身の松崎氏らしい改革です。

これらにより、天皇杯は「より強く、よりプロフェッショナル」な大会として、JFAの中でも重視されている方向性が見て取れる会見でした。司会を務めたNHKの松野靖彦アナウンサーからも、「2回戦からは注目試合をNHKが中継します」という紹介がありました。

トップの天皇杯返還式に続いて行なわれたフォトセッション。「ジーノ」のポスターの横、天皇杯を囲んで左から松崎委員長、植田選手、田嶋会長、石井監督、岡野会長。

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