― 石川選手といえば今日の大会のような“1対1”が魅力です。相手との駆け引きのなかでこだわっている点を教えてください。

攻守それぞれの1対1があるなかで、自らアクションを起こして相手にリアクションさせることです。そのための駆け引きが一つのキーになっています。僕の場合は、特に“間合い”ですね。今日の大会形式だとその間合いが取れないので、その中でどう抜くか、あるいは抜き切らなくてもいかにタイミングをずらしてゴールを狙うかが大事になると思います。

サッカーも局面だけを見れば1対1の連続ですから、そこの行動の繰り返しで勝敗が決まる部分は今回の大会と繋がると感じました。

プレーヤーたちのアツい駆け引きを見守る石川。

― 1対2など不利な状況で相手を抜きにかかるとき、目の前の相手にどう挑みますか?

シンプルにいえば、右に行きたい場合はいったん左に振って右に行くという感じです。ただその間に相手が詰めてくる可能性もあるので、詰めてきたときの間合いと距離間、そして重心ですね。後は、ボールを左右どちらの足で持つかでも相手の対応が変わってくるので、たとえば右サイドで縦に抜けたいときはあえて左足で持ち、相手をボールに寄らせることで縦のスペースを開けてそこを抜くとか。そういった相手にリアクションをさせる駆け引きがすごく面白いと感じ、僕はサイドのポジションをやり始めました。

中央だと視野は360度必要ですが、サイドは180度なのでほとんどの状況が目に入ってきます。その違いは大きいです。ただ、サイドから中央へ入っていく勇気を求められる場面も出てくるので、そこは判断を変えなくてはいけない部分がありますね。

― サイドでの駆け引きの場合、ドリブルやクロス、切れ込んでシュート、あるいはボールを下げるなど選択肢がいくつもありますが、判断の切り替えはどういった瞬間に行っているのでしょうか?

相手の立ち位置と味方の立ち位置ですね。相手を抜こうと思っていてもその先に別の相手選手がいればもう一度勝負をしなければいけません。その場合は、たとえば1人を抜いて後ろの選手が食いついた瞬間に空いた味方にパスをするなど、先の先ぐらいまでをイメージしながらドリブルを開始して、相手の対応も見ながら自らの形に引き込むという感じです。

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