もちろん、『日本テレビ』もこの一件は予見していたことだろう。そして、彼らが熟慮した上で決断を行ったことも間違いないはずだ。

突如、放送スケジュールが変更されるケースはあるが、「可能な限り、予定されているタイムスケジュールを変更しない」というのは、放送業界にとっては暗黙のルール。とりわけ2ndレグは、夜7時のいわゆるゴールデンタイムでの試合ということもあり、各スポンサーとの関係性なども考えると、変更することは容易ではないことは自明の理だ。

また、彼らの中では「視聴率の面でどうか?」ということも重要な論点になったはずだ。

この時間のレギュラー放送番組で言えば、『天才!志村どうぶつ園』や『世界一受けたい授業』との比較だ。その上で、彼らはACL決勝を捨てたのだろう。

もちろん、「視聴率勝負」となっても「ACL決勝」がこの両番組に勝利した可能性もゼロではないはずだ。だが、それは我々では推測できない。

我々が推測できることは、「サッカーは計算できないコンテンツ」という意見に反論できず、「ACL決勝のほうが視聴率を取れる」と関係各所に断言できなかった彼らの光景ぐらいだ。

と、放映側の考えを長々と推論してしまったが、筆者は、今回の騒動に対して「全面的に彼らを否定するのはやり過ぎではないか?」という感想を持っている。

むしろ、「前述の『テレビ朝日』の行動こそが賞賛されるべきであり、『日本テレビ』の行動が通常だ」という考えだ。さらに言えば、「BSという枠を使い、視聴可能者数を増加させた今回の施策はもう少し評価するべきでないか」とすらも思っている。

たしかに「放映権の取得者」には、取り扱っているコンテンツを「世に広め、普及させる」という責務はあるはずだ。

しかし、彼らが放映権を手にしたのは、あくまでもビジネスのためである。当然ながら儲からなくては意味がない。その考えは、日本だけではなく国外も同様であり、「ビッグマッチが無料で視聴できない」ということが日常茶飯事の国も少なくない。日本よりも先に有料配信サービスを開始している諸国では、それが当たり前のようになっている。

少し脱線してしまったが、サッカーファンが行わなくてはならない行動は今回のような「批判」なのだろうか。

筆者はそう思わない。

むしろ、「判断が間違いであった」と彼らに言わしめるため、何かしら「大きな結果を残すこと」に集中するべきなのではないだろうか。

それは、浦和レッズが優勝という成績を収めることはもちろん、「サッカーファンが大きな力を持っている」ということを証明することだ。

『金曜ロードショー』にて『天空の城ラピュタ』が放送される度、「バルス」の瞬間ツイート数が世間を毎度騒がしているが、作品を愛するファンたちが一種のムーブメントを作り出したことが事の発端だ。大手メディアが作為的に作り出したものではなく、逆に彼らがこのムーブメントに乗っかった格好である。

ACL決勝にて「バルス」のようなキラーワードを見つけることは難しいかもしれないが、それこそ「#レッズ」や「#レッズ優勝」という簡単なフレーズでもいいし、「#ウィーアーレッズ」と叫ぶのも一つなのではないだろうか。特定のタイミングで力を結集できるのであれば、その内容は何だっていいはずだ。

とにもかくにも、サッカーファンは団結を示すことが必要であるように思う。そしてそれは浦和レッズのサポーターに限定した話ではない。

ACL決勝という舞台が、特定のサポーターを喜ばせるものではなく、皆が注目する大舞台であることを証明するには、サッカーファン全体の力が必要不可欠である。

11月25日(土)が、様々な意味でサッカー界にとっての大きな転機になることを期待している。