実像は“王様”じゃなくて“労働者”

移籍当初は“王様”が到来したかに思われた。

デビュー戦となったギャンガン戦(第2節)、ウナイ・エメリ監督は彼にフリーロールを与え、守備を免除した。それが彼を活かす最適解だと考えたのだろう。しかし、ネイマールにその役割は合わなかった。

そもそもネイマールは「ドリブルさせてナンボ」の選手だ。ズラタン・イブラヒモビッチやリオネル・メッシのように組み立てのセンスに長けているわけではないし、クリスティアーノ・ロナウドのように圧倒的な得点力を持つわけでもない。

「数撃ちゃ当たる」を高レベルで実践している選手なので、自らの得点創出チャンスを増やすために守備もするし、利他的なメンタリティも兼ね備えている。実像は「王様」ではなく「労働者」だ。

その証拠にギャンガン戦では戸惑い、ミスも多かった。効果的にプレー出来ず、チームの足枷にすらなっていた中で1ゴール1アシストと数字を出したのはさすがだったが、上手く機能しているとは言えなかった。

エメリもこの試合でネイマールが王様タイプではないことに気づいたのだろう。トゥールーズ戦(第3節)では彼の王冠を外した。これまでと同様にあくまでチームの一翼としてプレーさせたのだ。

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