海外サッカーの育成事情に精通したコーチたちによる「エリートトレーニング」の一環として、海外トップクラブのアカデミー・スクールコーチを招き、世界各国の指導法や育成方法を紹介しているNike。昨年5月に行われた、バルセロナの元コーチ、ジョアン・サルバンス氏によるコーチングセッションに続き、先日は日本代表MF香川真司が所属するマンチェスター・ユナイテッドのアカデミーで育成コーチを務めるニール・ライアン氏を招聘。3月30日に横浜、4月1日に大阪で中高生のチームを率いる指導者を対象にした講習会が行われたので、Qolyも横浜の講習会の方へ取材に行ってきた。

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新横浜の「しんよこフットボールパーク」で開催された今回の講習会。当日、すぐ隣の日産スタジアムではちょうどJ1の横浜F・マリノス対FC東京が開催されており、両チームサポーターのチャント、そしてたびたび歓声が沸き起こる中でセッションは行われた(しっかり5回、大歓声が聞こえました)。

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1991年から2002年にかけてイングランドやアメリカで選手として活躍し、2003年に現役引退した後は現在に至るまで、マンチェスター・ユナイテッドFCアカデミーのU-12~U-16育成コーチとして活動しているニール・ライアン氏。日本などイギリス国外における指導者講習会の経験も豊富らしく、ジョークを交えながらセッションは進んでいった。

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講習の内容は、ウォーミングアップ(4対1のボール回し)、ポゼッションの練習(狭いコートでゴールを置かないゲーム形式)、クロスからのシュート、そしてQ&Aという流れ。普段は教える側の指導者たちが自ら汗を流した。

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ユナイテッドでも普通に行っているという練習は内容的に非常にオーソドックスなもので、4対1のボール回しならパスの角度や準備の意識、むやみにボールを浮かさない・回転をかけない。ポゼッションではスペースの認識や次を見越した動き、プレーの連続性。シュートでは、香川がハットトリックを決めたノリッジ戦のゴールを例に挙げ威力よりもコースを狙うことなどを強調した。

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違いが感じられたのは練習の強度の部分で、4対1では絶対不利の守備側にハードワークを要求。「全力の守備が良い選手を育てる」と語っていたほか、ポゼッションの練習でも後方へパスを出した際は全速力で縦に抜ける縛りを設けるなど、強度の意識付けにかなり重点を置いていた。

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ボールを使った練習が終わり、改めて育成年代に対する指導で大切にしている点を語るライアン氏。まずはとにかく技術。そして戦術、フィジカル(ハードワーク)と挙げ、最後に選手一人一人がサッカーを楽しむことの重要性も説いていた。

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ホワイトボードを使ったQ&Aの後、ライアン氏に話を聞く機会があったので2つほど質問をぶつけてみた。

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― 日本のプレイヤーを見ていると技術や戦術に寄りすぎ、“ゴールの喜び”よりも“崩しの喜び”の方が勝っているように感じられることがたびたびあるのですが、ゴールへ向かうメンタリティというのはどう育てれば良いでしょうか?

「私の経験上、それを教えるのはなかなか難しいです。また、どの選手もゴールを決めるのは好きですが、そこが一番難しい技術でもあります。だからこそ、ファン・ペルシーやクリスティアーノ・ロナウドといったスコアラーは価値が高いのです。まずはゴールを決める練習を増やすことですが、どこの国へ行っても点を取る選手を探すのは難しいですし、それはユナイテッドでも変わりません。よって、まずは楽しむこと、そしてゴールの喜びを知ること。といっても、ゴール前で決定的なパスを出すためには良い技術が必要ですし、それも大事なことです」

― 最近のプレミアリーグではダビド・シルバ、フアン・マタ、さらにはサンティ・カソルラと、スペイン人選手の活躍が目立っています。彼らは何が違うんでしょうか?

「まず技術。技術のレベルが全然違います。パスをして走る、なおかつドリブルもできる。また技術的にしっかりしているため、ボールが来ても慌てることがありません。子どもの頃からスペインで受けてきた指導の賜物だと感じますし、文化的な面もあるのでしょう」

「イングランドでも近年、フィジカルより技術を重んじたスタイルへ変えようとしており、ユナイテッドのアカデミーも技術をどう伸ばしていくかというところを重視しています。ギグス、スコールズ、ベッカム、最近でいえばウェルベック、クレヴァリー、エヴァンスなどアカデミーから良い選手が出てきており、一つの成功ではないかと思っています」