3.最強の盾と、最強の剣。

ネイマール、ルイス・スアレス、リオネル・メッシ。イニエスタからのパスで南米3トップが躍動し、ラキティッチが攻撃参加でアクセントを加えるバルセロナのフロントラインは「最強の剣」と呼ぶに相応しい。バイエルン・ミュンヘンを粉砕し、彼らの攻撃陣はギリギリで保たれているバランスを強引に抉じ開けることが可能だということを証明した。

一方のユベントスは4バック、3バックの両方で高い守備力を誇る。イタリア代表にも定着するボヌッチと、残念ながら決勝欠場が発表されたキエッリーニの組み合わせを基本に、実力者バルザーリが控える守備陣は、「CL最強」の呼び声も高い。

レアル・マドリードを前にしても怯むことなく迎え撃った「最強の盾」は、マキシミリアーノ・アッレグリによって磨き上げられている。前評判ではバルセロナに劣るとしても、「常にタイトルをもたらすのは守備である」という格言が正しいのであれば、CLのタイトルはユベントスのものになるはずだ。

ただし、現代フットボールでは攻撃的なチームがタイトルを得る傾向にある。W杯決勝で比較的守備的に戦ったアルゼンチンをドイツが打ち破ったことを考えれば、バルセロナの勝利を予想することも出来るだろう。

4.ユベントスとアッレグリの戦術的特異性。

「比較的バルセロナとは戦い慣れている」という不敵なコメントを残したマキシミリアーノ・アッレグリ。決して、証拠の無いビッグマウスではないはずだ。ACミランを率いている時代、何度となくバルセロナを苦しめた手腕に疑いの余地はない。特にリオネル・メッシを網に誘い込むように封じ込むことには長けており、バルセロナにとっては数少ない「天敵」だろう。

特筆すべきは、中央を複数人で固めながら守る3センターだ。中盤の構成によるゾーンDFの調整、サイドバックと中盤の連結といった部分を最も得意とするアッレグリは、バランスを取りながら複数人で相手のキープレイヤーを囲み込みながら、相手の攻撃を抑え込む。

また、ユベントスというチームと共に彼が進化させているのが「3バックと4バックの使い分け」だ。状況に応じて相手を誘い込み、終盤にシステムを変化することによって罠に嵌めてしまう技は、レアル・マドリード戦でも見られた彼の得意技。バルセロナであっても、主導権を取られることは死に直結する。

スピードを生かしたトランジションゲームを得意とする新生バルセロナの弱点となるのは、隙が増えがちになること。そこを狙い打たれる展開を避け、優位に試合を進めることが出来るのかに注目だ。

カルロス・テベスとアルバロ・モラタの2トップは両者共に万能型で、様々なカウンターを繰り出すことが出来る。予想の難しい彼らの攻撃を、どのようにバルセロナは避けていくのか。

「バルセロナには弱点がある」

マキシミリアーノ・アッレグリは不敵に笑いながら、その緻密なプランを練り上げていく。

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