チームの性格について
ボール扱いに優れている反面、体格やフィジカル面に劣ると言われる東南アジア諸国。ベトナムやタイに限らず、ミャンマーやラオス、マレーシア、ブータン、ブルネイなどにもその傾向は強い。
海外生まれの選手が多くを占めるフィリピンと東ティモールを除けば、異彩を放っているのはインドネシア、そしてこの数年のカンボジアである。小器用な選手は他の国と比べると乏しいのだが、その反面スピードやフィジカルに優れた選手がおり、勢いで勝っている。
パスを必要以上に繋ごうとせず、縦に速くスピードを持って攻める。特に2010年にイ・テフン監督が就任してからは(一度2012年に離れているが、次年度から復帰している)、その傾向が強くなっている感がある。
得点源となるコーン・ラボラヴィ、チャン・ワタナカ、そしてヒム・ボレイ(彼は日本戦のメンバーには選ばれていない)らは皆スピードタイプで、自分でスペースを破ることが出来る選手だ。
彼らを絶対的司令塔かつ主将であるクーチ・ソクンペアが操る攻撃面が武器であり、形にはまったときにはなかなか魅力的な攻めを繰り出すことが出来る。前頁に書いたように小原監督はそこに流動性というプラスアルファを入れていたが、既にイ・テフン氏が復帰しており、より以前に近いスタイルに戻っている。
ただ、問題は他の東南アジアの国々と同じく、守備面である。
攻撃に才能を持つ選手は多いが、守備面で際立った力をもつ者は少なく、マークやビルドアップにもミスは多い。特に集中を一度欠いてしまえば、そこから立て直すことは難しい。
日本の対戦相手として考えれば、例え引かれたとしても全く点が取れない相手ではないだろう。ただ、1点しか取れなかったりすると、ソクンペアからのパスでラボラヴィやワタナカが一発決めて……ということも考えられなくはない。
油断は禁物だ。もしホームでカンボジアに勝てなければハリルジャパンの未来はなくなってしまうだろう。