チームの性格は?
今回の予選に向けては、2015年に入ってからボスニア・ヘルツェゴビナ生まれのドイツ人監督スラヴェン・スケレジッチ氏をFSVフランクフルトのユースから引き抜き、準備を進めてきた。
余談であるが、南アジア選手権優勝に導いた英雄的な監督ムハンマド・ユースフ・カルガール氏が今年1月に暴漢の襲撃を受け、ナイフで複数回刺されるという事件に遭遇したことが話題になったが、無事一命を取り留めて連盟の仕事に復帰している。
Breaking: M. Yousef Kargar, #Afgh Footb. National Team Head Coach, was stabbed. He is admitted to the hos. @TOLOnews pic.twitter.com/4CxZo3mSod
— Rateb Noori (@RatebNoori) 2015, 1月 11
アフガニスタンのこの1、2年でもっとも大きな変化は、さらに海外生まれの選手が増加したということだ。2011~2013年あたりでは半数以上国内の選手が入っていたが、今回の予選では5~6人がいいところだ。
現在のチームの主力のほとんどはドイツ、オランダの下部リーグでプレーしている選手だ。そこに国内の選手やオーストラリア、北欧、ロシア、アメリカなどにいる者が少数加わっている。先日はかつてドルトムントで香川真司の同僚だったオーストラリアU-23代表MFムスタファ・アミニにアプローチしたが、断られたようだ。
これによって何がもたらされているかと言えば、やはり戦術面の安定だ。
以前のアフガニスタンはかなり無鉄砲なチームであり、ぶつかって、蹴って、走って、仕掛けてということを繰り返し、勢いばかりが目立つという性格があった。
それがこのところは守備での稚拙なミスも少なくなり、組織を組むことも可能になり、ポストプレーも出来るようになった。今スケレジッチ監督は時に3バックと4バックの中間のようなポジショニングをさせるシステムを作っているが、かつての彼らならまず使いこなせなかっただろう。
ただ、反面勢いという点では落ちており、良くも悪くも普通のチームになったなと感じることもある。個人的にはかつての魂だけで戦っているチームが好みだったが……。
日本が対戦することを考えれば、『Bild』にスケレジッチ監督が語ったコメント、『我々が日本と10回戦えば、明らかに9回は負けるだろう。しかしその残りの1に期待したい』が現実的である。
アフガニスタンはテロの危険性からホームゲームを行うことが出来ず、中立地のテヘランでの開催となる。それはもちろん我々にとっての追い風である。
日本がまだ重苦しい空気に包まれる中、ここでその『10分の1』に当たってしまえば、やはりハリルジャパンの未来はなくなってしまうかもしれない。なんとか勝利をもぎ取って欲しいところだ。