ドイツ人指揮官ユルゲン・クロップは、マージ―サイドの名門で既に象徴となっている。一挙手一投足にメディアは注目し、選手達も彼に心酔しているように見える。

クラブ就任数か月とは思えない程に、彼はチームに自らの哲学を浸透させてきた。赤く燃える炎の様な男は、情熱的なリヴァプールのサポーターと予想以上に噛み合っている。その船出は完璧に順調なものではないが、彼の様な困難を好む男を燃え上がらせるには十分な障害だろう。

一方、首位を走るレスター・シティを率いるクラウディオ・ラニエリはイタリアが生んだ指揮官だ。

その実力は高く評価されているものの、長期での成功が多くない上に、直近の仕事であるギリシャ代表で失敗した彼の抜擢に関しては英国メディアでも賛否両論だった。「上位半分に入れば及第点」、という見方も少なくなかったはずだ。

しかし蓋を開けてみれば、レスターは大躍進。指揮官が「フォレスト・ガンプ」に例えるような献身的なパフォーマンスで、プレミアを牽引している。

今回は、ボクシング・デーに行われたリヴァプール対レスター・シティの分析と共に、ユルゲン・クロップがどの様に絶好調のレスター・シティを抑え込んだのかを考察していきたい。

【次ページ】レスターの強みを封じる“2トップ”