メンバーを固定していたにも関わらず、怪我人が少なかったことも躍進を支えた。ヨーロッパの大会がなかったこともあるが、一週間のスケジュールで回復を可能にしたのも大きい。「土曜は試合、日曜は休み。月曜は軽い練習で、水曜日は強度を高めた練習をする。木曜日は休みで、金曜日は戦術などのミーティングをする」というように、試合に向けてコンディションを整える練習メニューが意識的にデザインされていた。

レスターで元々働いていた裏方が優秀な人間揃いだったことも、こういった科学的トレーニングの効果を高める助けとなった。

指揮官ラニエリはチームが優勝を決めた瞬間、96歳の母親と昼食を食べるためにイタリアに戻っていた。未だに元チームメイトと一緒にバカンスを過ごし、休日は妻と一緒に泉の周りを散歩する64歳の指揮官は、自然体で奇跡を受け入れたことだろう。

「ベンジャミン・バトンのように、若返っているような気分だ」と満面の笑みで語った指揮官が作り上げたチームは、若く野心溢れる監督が作り上げた勢いのあるチームのようだった。

レスター・シティの若者達との出会いはラニエリを若返らせ、経験のある指揮官のサポートが純粋に成功を目指す若者達を解き放った。最高の出会いが、奇跡を生んだのだ。

筆者名:結城 康平

良い意味で自由に、色々な文章に挑んでいきたい20代男子。目指すはQolyの「なんでも屋」系ライター。戦術系統、観戦記、個人戦術、チームマネジメント、などなど...書きたいことは一杯ですが 、スキル不足。質を保ちつつ、色々なものにチャレンジしたい。座談会の司会、編集もしております。

Twitter: @yuukikouhei

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