こうした背景には内紛を逃れた人々がスウェーデンに定着してきた歴史がある。かつてのユーゴ紛争だけでなく、コソボ、DRコンゴ、パレスチナ…欧州からアフリカまで幅広い地域の人たちがスウェーデンに難を逃れるためにやってきたのだ。

MFのケン・セマは言う。
※カバー画像で17番をつけているのがセマ

ケン・セマ
(スウェーデン五輪代表)

「父親と母親は1987年にスウェーデンへやってきた。子供達に良い生活を与えるために」

その後、1993年に生まれたケンは兄マイクと共にサッカー選手となった。

こうした難民の受け入れはアンダーの世代でスウェーデンの躍進の礎となっている。2015年のU-21欧州選手権で優勝し、2013年のU-17W杯ではベリシャが得点王、チームも3位に入った。

しかし、同時にスウェーデンは治安悪化を招いている。今年1月には8万人もの移民を国外退去処分とした。2015年にはおよそ19万人もの難民を受け入れてきた。人口が1000万人に満たないスウェーデンは人口に対する移民の割合はEU最大である。今やフランスよりもスウェーデンの方が移民大国なのだ。

となると、多様な人種間でのいざこざが人種差別や犯罪につながってくる。イスラム教徒による強姦は社会問題になり、一方で白人はモスクを襲撃する。現在のスウェーデンはスポーツ界では恩恵を受ける一方で、社会政策としては見直さざるを得ない状況を迎えている。

税金が高い一方で高福祉社会として注目されてきた北欧。日本では度重なる増税、移民受け入れのために政治家がモデルケースとしてあげることは少なくない。だが、現実はそんなに甘くないようだ。