EL連覇という功績を遺し、セビージャを去ったエメリからバトンを引き継いだホルヘ・サンパオリ。

彼のもとで現在リーガ第3位の位置につけ、アトレティコの代わりに虎視眈々とリーガ2強に割って入ろうとしているセビージャについて今回は書こうと思う。

リーガ・エスパニョーラは華やかなポゼッションによるパスサッカーのイメージを持たれがちである。確かにビッグクラブではなくとも、キケ・セティエンのラス・パルマスやエウゼビオのレアル・ソシエダといったチームがバルセロナ顔負けの素晴らしいパスワークを実践している。

しかし、リーガの近年傾向としてはバルセロナやレアル・マドリーといった大きすぎるチームに対抗するべく守備戦術が格段に向上していった戦術的変遷がある。まさにシメオネのアトレティコはその代表格である。4-4-2の圧縮とスライド、相手のシステムに合わせた対応力と獰猛なプレッシングで2強に対抗してきた。

以前はバルセロナを彷彿とさせるパスワークで数々のチームを翻弄してきたビジャレアルも、今となってはアトレティコのコピーのような4-4-2ブロックを敷くチームに様変わりしている。ペジェグリーニ時代のようなロマンでありながらも、守備のバランスを欠いていたエンタメ精神溢れるチームから守備を基盤として堅実なチームへと変貌していった。

そういう傾向のオトラリーガ(別のリーグという意味)のチームが上位に食い込む中で、今季はレアル・ソシエダやセビージャといったボールポゼッションでバランスを取ろうと試行錯誤しているアクションチームの台頭がある。

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