浮き沈みは激しいが、指揮官の理想にブレはない
21試合を終了し、8勝6分7敗の13位。リーグ屈指のタレント力を誇るだけに、この結果は当然納得いかないはずだ。
「ハイプレス・ハイライン」という言葉に隠れがちだが、ポゼッションの上手さはリーグ随一。中央からでもサイドからでも自在に崩すそのパスワークは素晴らしく、完成度は名古屋グランパス、FC岐阜を上回る。21試合で35得点という得点数はリーグ1位タイ。ハマった時の破壊力は凄まじい。
一方で守備に目を向けると、21試合で32失点。リーグワースト5位タイの失点数が足を引っ張っている。
だがこの失点の多さは、志向しているスタイルを考えれば致し方ない。繰り返しになるが、最終ラインは世界でも類を見ない高さ。裏を突かれてあっさり失点してしまうシーンは多く、高い位置を取る佐藤優也の頭越しにロングシュートを決められたのも一度や二度ではない。敵を追い込むはずの策が自分たちの首を絞めているのは否めない。
それでも指揮官は、自陣深くにブロックを敷く戦い方を選択したことは一度もない。「ハイプレス・ハイライン」を敷くのは、守備に主眼を置いているからではない。あくまでも攻撃を第一に考えているのだ。
ポゼッションで相手を押し込み、ボールロスト後にすぐ奪い返すことで主導権を握り続ける。その為のハイプレスであり、ハイラインである。
すでに迎えた夏場は、どのチームも運動量が落ち、苦しい戦いを強いられる。それと同時に得点数も増加し、オープンな試合展開になりがちだ。特に攻守に運動量が多い千葉は夏場の影響をもっとも受けることが予想される。
しかし、指揮官に哲学を曲げる気は毛頭ない。ややプレスの開始位置を下げるなど夏場を意識した戦い方を実践しつつも、「相手がどこであれ、自分たちが主導権を握るサッカー」という究極の理想にブレはない。その理想を手にする旅はまだまだ始まったばかり。この旅の行く末を楽しみながら見守りたい。
2017/07/02 written by ロッシ
筆者名:ロッシ
プロフィール:
1992年生まれ。1998年フランスW杯がきっかけでサッカーの虜となる。筆者の性格は堅実で真面目なため、ハビエル・サネッティ、長谷部誠、ダニエレ・ボネーラ、アルバロ・アルベロア、マッティア・カッサーニにシンパシーを感じている。ご意見・ご感想などありましたら、ツイッターアカウントまでお寄せください。
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