スポーツの持つチカラ

土地に関しては、沖縄の北部が土壌などを含めコーヒー生産に適していたので、名護市に相談して提供してもらいました。そこに自治体の協力も得ながらコーヒーノキ(コーヒーの木)を植えています。ちなみに琉球大学は「沖縄にどんなコーヒーが合うのか」という研究も行っています。

実はプロジェクト自体は2017年から動いていたんです。ある程度形になるまでは公表できなかったので、2年くらい地道にやって、昨年4月、コーヒーの苗木を畑に移し替えたタイミングでようやく発表できました。

僕らとしては早く発表したくて仕方がなかったです(笑)。クラブとしてのアピールになりますし、この取り組みによって今後、自治体とスポーツのかかわり方が変わってくる可能性もあります。

スポーツクラブが自分たちで稼ぎ、スポーツを通して地域の創生にうまくかかわっていく。僕らがその点をいくらアピールしても自治体側が理解してくれなければなかなかうまくいきません。

スポーツの持っているチカラを使うことで、先につながっていくことを今回の取り組みで証明できればと思っています。

※bouncyさんが昨年4月に公開した「沖縄コーヒープロジェクト」の動画。

宮崎P――名護の畑は海沿いの場所ですよね。塩害とかは大丈夫ですか?

塩害もありますが一番は風ですね。沖縄は台風がやはり多いので。ただ、名護の畑は環境的にかなり厳しい場所でやっているので、逆にそこで育てば基本的にどこでも大丈夫かなと思います。

名護だけでなく、もう少し奥の大宜味村の畑にも植えていて、そこはもう間違いなくいけると思います。周りに山があって何かで囲わなくてもいいですし、日の光もほどよく当たる。コーヒーの場合日が当たりすぎるのも良くないんです。

コーヒープロジェクトは特に北部の地域振興につなげていきたいと思っています。将来的には観光農園みたいな形で、生産(1次)・加工(2次)・流通販売(3次)をすべて行う「6次産業化」を目指しています。

スポーツはただスポーツというだけではなく、様々なモノ・コトに合わせられる唯一のものだと個人的には考えています。あとは組み合わせ方。

コーヒーで言えば現在、沖縄SVとネスレ日本、琉球大学、自治体の4つがあって、さらにそこにかかわってくれる人たちがいます。そうした中から新しいものを生み出したり、あるいは今あるものをより良くしたりしていくことが、これからの時代は特に大事ではないかと思います。

自分たちだけで一生懸命やるのではなく、自分たちに足りない部分を持っているところとつながって、一緒に取り組んでいく。そのあたりは「SDGs(エスディージーズ/持続可能な開発目標)」の考え方にもつながりますね。もともとSDGsに基づいて進めていたわけではなかったのですが、うまくかみ合いました。

とにかく、根本にあるのは自分たちが何をしたら地域貢献や地方創生につながり、それが自分たちにどう返ってくるのか、という考えです。先ほども言ったようにボランティアで終わっては意味がないですから。

そこをまさに、自分たちで作り上げているということはやりがいがありますし、楽しいですね。しかも最終的にそれがサッカーにも返ってきて、一緒にやっている選手やスタッフたちに還元されていきます。

とはいえ、まだ実際に結果を出したわけではありません。2017年に描いた「絵」が徐々に形になってきたことを実感しつつ、プロジェクトとして結果を出したいです。

木が育ち実をつけて、コーヒー豆を収穫して焙煎し、売る。おそらく2年後に初めてできるのではないかと思っています。