宮崎P――誘客のアプローチとして、クラブの練習試合をサポーターが見に来るといったマネタイズ設計はされているのですか?

サガン鳥栖さんやガンバ大阪さんは以前からキャンプ応援ツアーのようなプランを組んでいます。「沖縄サッカーキャンプを見に行こう」と。そういったツアーを利用して地元のほうからサポーターを呼ぶということは長年やっています。

宮崎P――沖縄の強味の一つとして挙げられる芝ですが、各施設で良好な天然芝を管理するための「芝人(しばんちゅ)養成事業」を記事で拝見しました。一般的なグラウンドキーパーとは違うものなんですか?

基本的に同じです。というのも、これまで沖縄は気候やリゾートホテル、施設の多さなど、キャンプに適した条件が揃いながら実際に使われることはあまり多くありませんでした。その大きな理由が、良質な天然芝のグラウンドがなかったことです。

冬芝の種を蒔きオーバーシードの時期を経て、1月と2月にグラウンドの状態をピークに持っていく。その発想自体が沖縄にはありませんでした。Jクラブはやはり各地の素晴らしいピッチを見ているので、彼らを納得させるために「芝のスペシャリストを育てましょう」と始めたのが芝人養成事業です。

基本的に県の事業で、サッカーグラウンドの芝のスペシャリストを育成し、その後各市町村に就職することを目指して2013年度にスタートしました。これまで15人ほどの卒業生がおり、もちろん市町村に就職した方もいますし、事業を受託していた専門会社に就職した方もいます。

もともと沖縄県のサッカーキャンプ事業は誘致事業と芝人養成事業の2つを軸に動きだしたんです。芝人に関してはある程度成果が出たということで終了しました。

――国仲さんは沖縄SVのホームゲームの運営にも携わっています。そこでの苦労というのはどんなことがありますか?

まだ九州リーグの規模なので、Jリーグに比べると楽な部分が多いです。ただこのカテゴリーだからこそ手作りでやっていて、業者に頼んだりはしていません。そのためメンバー外の選手たちにもいろいろ手伝ってもらっています。

裏方がいて試合が成立していることを彼らが知る良い機会になっていますし、大変ではありますが、今だからこそできることでもあると思っています。

また、Jリーグと違って決まったホームスタジアムもないので、ただそこで試合をするだけではなく、我々がホームゲームを行うことで各自治体にどんなプラスアルファをもたらすことができるかは常に考えています。試合後にサッカー教室をやるとしても、それが市町村の求めるものでなければ意味がないですから。今はいろいろ模索しながら進めています。

あと苦労と言えば、九州リーグならではの集中開催が年4回あります。その中に沖縄開催もあるのですが、その場合は沖縄SV以外の試合も運営しなければなりません。それはJリーグより大変ですね(笑)。

1日に3試合あると、当然3試合分の審判やボールボーイなど各種手配、公式記録の管理などが必要になります。それらをすべてホストチームがやらないといけないので、最初は特にきつかったです。