システム変更で鎌田も躍動
また、もう一人の日本人である日本代表MF鎌田大地にとっても、現在の状況は追い風かもしれない。
当初フランクフルトは2トップを多く採用していたが、前述の理由でエースFWバス・ドストの退団が決まって以降、チームは基本布陣を<3-4-1-2>から<3-4-2-1>へ変更した。
2列目が単独トップ下から2シャドーに変更となったことでアミン・ユネスが抜擢されたのが、これが鎌田の持ち味をも引き出した。
2人は単独での局面打開力を武器としてはいない。一方で、お互いに周囲の味方とのコンビネーションを使っての短いドリブルやワンツーを駆使することには長けている。
鎌田はよりプレーメーカー役に、ユネスはチャンスメーカー役にタスクを分け合うことで、抜群の連携を披露する“目配せデュオ”となったのだ。
冒頭のバイエルン戦で2人は共にゴールを挙げ、鎌田に関してはドイツ大手紙「キッカー」算出のランキングでは第22節時点でリーグ最多タイの11アシスト目(PK獲得やオウンゴール誘発もアシストとしてカウント)も記録する大ブレイク中。
さらに最前線のポルトガル代表FWアンドレ・シウヴァは、2トップから1トップになったことで自分が使えるスペースが拡がり、2シャドーの援護射撃も受けてここまで19ゴールと大暴れしている。
チームは開幕からの11戦で2勝7分2敗だったが、ユネスを抜擢した第12節以降は13戦9勝3分1敗。「負けないチーム」から「勝ち切れるチーム」へと変貌を遂げた。
かくしてフランクフルトは、今季の最適解となる<3-4-2-1>に辿り着いたのだ。