Jリーグを彷彿!プレッシング大国で異彩放つ“運べるドリブラーたち”を観よ!
ところで、鎌田やユネス、長谷部は中盤でのMFらしい横へのドリブルが得意だ。縦へ仕掛ける博打的なドリブルではなく、「運ぶドリブル」を持つ。
ゲーゲンプレッシング発祥の地であり、多種多彩で高度なプレッシング戦術を採用するブンデスリーガにおける中盤の攻防では、彼等のような運ぶドリブルは異彩を放っている。
確かに効率的にはパスの方が速い。しかし、もはやプレッシングの強度と連動が桁違いのドイツでは、トラップミスやパスミスが生じるパスワークよりも、運ぶドリブルで密集地帯を抜ける方が効果的なのだ。
これまでコスティッチの左サイドからの突破頼りだったチームが、中央に人数を集めてハーフスペースを攻略し始め、バリエーション豊かな攻撃を披露している。
このような横への「運ぶドリブル」や、2シャドーを組む鎌田とユネスらが細かい連携やアイデアを重ねて局面を打開していく姿は、Jリーグでよく観られる種類のプレーだ。
このスポーツを「フットボール」ではなく、「サッカー」と呼ぶ我々の国では、これらのプレーは本場の欧州や南米のプレーとは違って、ガラパゴス的に揶揄される対象だった。そして、Jリーグで拡がる<3-4-2-1>システムもその象徴であった。
しかし、主力に2人の日本人選手を軸に据えたブンデスリーガのクラブが、日本サッカーの長所としてこれらを活かしている。そして、シーズン残り3分の1と佳境に迫るブンデスリーガで、来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場圏内の4位と大躍進しているのだ。
そこで私は声を大にして言いたい。この日本サッカーの短所を長所として披露するフランクフルトは、我々日本のサッカーファンがもっと目を凝らして観るべきチームだ!と。
【写真】「タトゥーを入れていないサッカー界最強のスター10人」
そして来季、“最年長戦士”長谷部の勇姿を欧州最高峰の舞台で観られることを切に願っている。