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原一樹は「昇格したくて現役引退を表明」した。おこしやす京都ACで“最後の大勝負”

原一樹は「昇格したくて現役引退を表明」した。おこしやす京都ACで“最後の大勝負”

2021/10/22 12:30

Image by Qoly

Text by カゴノブアキ

福井県と関西を中心に活動しているスポーツMC、コラムニスト、ライター、ラジオパーソナリティ。「フットボールナビゲーター」と自称し、文字と声の両面でサッカーを盛り上げる何でも屋である。現在はレイラック滋賀FCでスタジアムDJを務めている。

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――ただ2019年は、同時にJ3へと降格したロアッソ熊本に移籍するわけですよね。

僕にとっては、そこでキタジさんがコーチをされていたというのが大きかった。その下でやれるなら、どんな環境を捨てることも、年俸を捨てることも惜しくない。

讃岐で続ければ子供たちに引っ越しをさせずに済みますし、同じJ3なのに…というのもありましたけどね。ただやはりキタジさんの下でサッカーを教わりたいと。

僕の中では極めて大きい存在でした。もう二度とチャンスはないかもしれない。家族に「ロアッソ行きたい」と相談すると、みんなパパに付いていくって言ってくれました。

小学校の頃からの想いがあるので、コミュニケーションを取りながらプレーするのが本当に楽しかったです。どんな不可能なことでも、キタジさんが言うならもうやるしかないんですよ（笑）。

自分もベテランになって、ある程度我が強くなっていました。讃岐でも少しワガママになってる自分がいるなと感じていたんです。言われたことをやるのが選手なのに、北野監督に意見して、「俺勘違いしてるなあ」という自分もいました。

環境に胡座をかくよりも、キタジさんに鞭打ってもらわなくちゃいけないと。トレーニングに対しての向き合い方や性格もすべて変えて欲しい、そう思って飛び込みました。

憧れの人の下なので最初は怖かったですよ。

それ以前にも面識はあったんです。市船のOBとして食事をご一緒したんですが、僕は「いやお酒なんか飲めないですよ、水だけでいいです。正座じゃなくていいんですか？」という状況です（笑）。

でもその時もキタジさんは「いやいや、そんなの気にしなくていいから」と仰ってくれましたね。熊本に入った時も「メニューを組んでください」とお願いすると、「まずお前がやっていることからやろうよ」と。とてもリスペクトしてくれました。

ロアッソ熊本の監督を務めていた渋谷さんもとてもサッカー大好きな方でしたね。試合後に「いや、本当に良かった」と涙するような方です。

選手を思ってなかなか言葉にしない中、勝ったときにこそ熱さを出して男泣きしちゃう。物静かでありながら、ダメなものに対してはとても厳しい。「無理しながら怒ってるんだろうな」とも感じましたが、それをすることでまた選手を奮い立たせていたんですよね。

これまで長谷川健太さんなど怖い感じの方が多かったんですが、渋谷さんは逆に優しく見えるからこその怖さだったり思いがある。失礼ながら熊本に入ってからなんですけど、この監督すごいな…と感じましたね。

また、キタジさんのサッカー観も「こんなに緻密に考えてやっていたんだ」と思わされました。いろんな記事で工藤くん（工藤壮人選手）や田中順也くんが「ポストプレーを教わってうまくなりました」と言っているのを見ましたが、状況に応じたトラップの方向など緻密に考えている方でしたね。それを言葉と身体で説明してもらいました。

シュートについてもいろいろ話しました。1番嬉しいのはどんなゴール？という話をしたとき、僕は「誰も予測していない場所に入って、俺だけはここに来ることを知ってたよというゴールが好きです」と言ったんです。するとキタジさんも同じでした。

ごっつあんゴールと言われるけど、自分は5秒先を知ってて、そのために動き出して、予測してシュートに行っているんだと。「キタジさんもそうしていたんですか？」と聞くと「あたりまえじゃん！」と。

計算されているから、全部のゴールを覚えてるんですよ。僕もそうです。あの時はどうだったんですか…と話し始めると、デニーズとかで閉店コースでしたね（笑）。

――2019年は僕がガンバ大阪U-23のスタジアムDJをやっていて、敵として向かい合いましたね。

高木和道さん率いるアンダー23軍団。監督は森下さんでしたが、選手を引き連れているのは高木さんでしたね。「この子たち連れてきてるんよ」と話してました。

――万博で対戦しましたけど、お互いあまり思い出したくないですね。

PKを外しましたね。僕は。