10月8日、現役引退を発表したアンドレス・イニエスタ。
バルセロナやスペイン代表で中心となってきた天才MFは、2018年夏にJリーグのヴィッセル神戸へ加入。6シーズンにわたりプレーし、その圧倒的なスキルを日本のファンに見せてくれた。
イニエスタの武器の一つが何と言ってもドリブルだろう。欧州や世界の大舞台で相手に囲まれながら涼しい顔でボールをキープするさまはある種異様だった。
まさに異次元だったイニエスタのドリブル。その特徴を、現在日本人最高のドリブラーである三笘薫と比較しながら以前語ってくれたのが、ヴィッセル神戸DF山川哲史だ。
筑波大学時代、同級生の三笘と4年間練習後に1対1を繰り返していたことで知られる山川。神戸では加入から3年半をイニエスタとともに過ごした。
今季、J1王者神戸で守備の大黒柱となっている山川には、イニエスタと三笘のドリブルがどう見えていたのだろうか。昨年Qolyが単独インタビューした際に紹介した彼のコメントを改めてお届けする。
「お互いに相手の重心を見ているというか、どちらの足に体重がかかっているかを見て、逆を取ってくる感じがすごく似ていると思います。薫はそこからどちらかというとスピードで抜いていく感じなんですけど、アンドレスの場合は…何て言うんですかね。一瞬のスピードが速くて、ボールが足もとから離れずにドリブルをしてきます」
「単純なスピードだけでいえば、薫のほうが速いとは思います。アンドレスはドリブルしている時に足もとにボールがあるので、抜きに来た時に自分が対応すると逆に変えることができたり、僕が取りにいった瞬間にパスを出せたりみたいなところがあります。ずっと一緒にサッカーをしていて色々な選手にも聞いているんですけど、そこを言語化できる選手はあまりいないのでちょっと難しいですね」
「どう説明していいか分からないんですけど、近寄れない感じがあります、アンドレスは。(彼の周りだけ)時間が若干遅く流れているみたいな、アンドレスだけが速く動いているみたいな感じの。難しいんですけど本当にそういう感じです」
言葉を選びながら守備者としてイニエスタのドリブルを丁寧に解説してくれた山川。
最後の「(彼の周りだけ)時間が若干遅く流れているみたいな、アンドレスだけが速く動いているみたいな感じの」という表現はかなり本質を突いているように感じられる。
残念ながら選手としてのキャリアにはピリオドを打ったイニエスタだが、8日に行われた引退会見では、指導者の道へ進むことを明かした。
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彼の魔法のようなスキルが次世代に受け継がれていくことを楽しみにしたい。