ワールドサッカーの楽しさの原点

しかし、現代サッカーがあまりにフィジカルや戦術にふった影響からか、この試合ではむしろそのゆるさが心地よかった。飲みながら、食べながら、あるいは声援を送りながら、ファンは思い思いの時間を過ごしていた。

だれが見てもダーヴィッツの上下運動はすごいし、ドレッドヘアはインパクトがある。ダビド・シルバはまだまだリーガでやれるのではないか、というぐらいのリズミカルなタッチだし、ピレスも動きはらしさ全快だった。個々のテクニックを“のんびり”堪能できたのだ。

“わかりやすく”世界的スターのすごさがダイレクトに伝わってきた。パス1つ1つ、タッチ1つ1つがすごいのだ。

この試合に出場したスターたちは、日本が1998年、2002年ワールドカップを機に盛り上がり、日本代表のスターがヨーロッパサッカーに挑戦していった世代のスターだ。ワールドサッカーが一番盛り上がっていた時期なのかもしれない。

そして、親になった当時の若者たちが父親として奥さんや子供たち、もしくは同僚とサッカーをもう一度楽しみに来ていた。

試合前・後には選手たちからボールが投げ入れられ、サイン入りグッズを手に入れるチャンスがあった。

子供たちに話を聞くと「(ワールドレジェンズが着ている)あのパーカーがめっちゃかっこいい。欲しい」とダイレクトな反応が見られた。ファンからは「ダーヴィッツが変わらない」「カカがすごい」とサッカーを楽しむ原点となる声が聞こえた。

サッカーをエンタメにする。

そして、主催者側の意図もそこにあったと思う。

このイベントは、普段のJリーグのスタジアム使用時よりもライティングが若干抑えられ、暗い様に見えた。かわりに試合では常にBGMが流れ、スタジアム実況のじゅんいちダビッドソンと解説の宮澤ミッシェル、そしてAKB48の下尾みうが絡む音声が試合中に客席まで届けられた。

反面、「得点シーンなどがちょっとわかりずらい」、「メリハリがない」といった声も聞こえたが、サッカーをただ1試合流すのではなく、エンタメ化しよう、楽しく過ごしてもらおうという創意工夫が感じられた。

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惜しむらくはここまで盛り上がるのならば、土日祝日に開催をしてほしかった。Jリーグの日程がない時期や日を選べばいけたのではないだろうか。そんな第二回へ向けた期待を込めて本稿をとじることとする。

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