史上最大規模で開催された「D.LEAGUE 25-26」は、シーズン累計の観客動員数が10万人規模に達する見込みとなるなど、大きな盛り上がりを見せている。そして5月31日(日)、いよいよチャンピオンシップが開催される。
スタイルも個性も異なるダンサーたちが激突する頂上決定戦を前に、リーグ創設者の神田勘太朗氏や注目のチームの面々に、今シーズンへの思いや見どころを聞いた。
10万人動員へ。史上最大規模となったDリーグ
2021年に開幕した日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」は、25-26シーズンで6季目を迎えている。昨秋から始まったレギュラーシーズンには、新規参入2チームを含む16チームが参戦。史上最大規模で初の2ブロック制が導入され、2DAYS開催となるなど装いを新たにした。
会場も東京ガーデンシアターからTOYOTA ARENA TOKYOへ移り、スケールアップ。平均観客動員数6,500人、シーズントータル10万人到達が見込まれるほど人気を集めており、コロナ禍明けとなった23-24シーズンと比較しても、実に2.6倍の伸びを記録しているという。
そんなプロダンス界は、5月31日(日)にリーグ王者を決めるチャンピオンシップ(CS)を迎える。CSには、「BLOCK HYPE」と「BLOCK VIBE」それぞれのレギュラーシーズン上位3チームが進出。トライアルマッチ(準々決勝)では両ブロック2位と3位がたすき掛けで対戦し、勝利チームは各ブロック1位が待つセミファイナルマッチへ進出する。サードプレイスマッチ(3位決定戦)を経て、ファイナルマッチで今季の王者が決まる仕組みだ。
勝敗を分けるのは、6つの審査項目である。
観客がDリーグ公式アプリを通じて投票する「配信ジャッジ(25%)」「会場ジャッジ(25%)」に加え、審査員が「テクニック(12.5%)」「コレオグラフィー(振付力/12.5%)」「シンクロパフォーマンス(12.5%)」「エースパフォーマンス(12.5%)」の4項目をジャッジ。合計100%のシェア率のうち、50.1%以上を獲得したチームが勝利となる。
この審査構成比を見ても分かる通り、勝敗の50%をオーディエンスが握っている。ダンスに詳しくない人でも、応援するチームや素晴らしいと感じたチームの勝利を後押しできるのだ。

加えて、4つの審査項目のうち、出場する8人全員のダンスのそろい具合や表現の難易度などを評価する「シンクロパフォーマンス」と、各チームのエースがソロでスキルと表現を競う「エースパフォーマンス」も大きな見どころ。両パフォーマンス中はステージ上のビジョン表示も変化するため、視覚的にも分かりやすい。どちらの振りがよりそろっていたのか、観客をくぎづけにしたダンサーはどちらだったのかーー。2分から2分15秒で繰り広げられる演目のハイライトとなる。

Dリーグ創設者も賞賛や期待を送る。CSに立つ6強の顔ぶれ
そんな注目のステージに立つ6強は、どんなチームなのか。カリスマカンタローこと、Dリーグ創設者で同代表取締役COOの神田勘太朗氏にコメントを寄せていただき、対戦カードごとにその顔ぶれを紹介したい。

●1stトライアルマッチ|KOSÉ 8ROCKS vs.KADOKAWA DREAMS
KOSÉ 8ROCKS(ブロックHYPE2位)は、リーグ唯一のブレイキンチーム。2024年パリ五輪に出場したShigekix(シゲキックス)も所属する。22-23シーズンには3連勝で初優勝を果たした実力派だ。

神田氏は彼らについて「ブレイキンのネタを複数のパターンでつくれるチームは世界的に見ても軍を抜いている」と評価。「ブレイキンらしさにヒップホップの要素を詰め込んだSHOWにするのか、それともおしゃれな作品に仕上げてくるのか注目」と期待を寄せる。
対するKADOKAWA DREAMS(ブロックVIBE 3位)は、22-23、23-24と2連覇を達成し、昨シーズンもファイナリストに名を連ねた強豪だ。エースKELOは、24-25シーズンに史上初のMVD(Most Valuable Dancer)2ラウンド連続受賞を果たしている。

神田氏は今年も彼らを「優勝候補」と見ており、「リーグ全体の質を上げるチーム」と称賛。「ストリートダンスの振り付けに独自の視点を加えてあまり見たことがないようなコレオグラフィー作品を作っていく」と、その独創性に注目している。
●2ndトライアルマッチ|DYM MESSENGERS vs. Medical Concierge I'moon
DYM MESSENGERS(ブロックVIBE2位)は2年ぶり2度目のCS進出。ストリートダンスを軸とした作品づくりを得意とし、そのダンス力について神田氏も「リーグ随一」と評価する。

さらに今シーズンは、シンクロなどDリーグのルールに沿った要素も磨き上げ、「落とし所がない」チームへと進化。同氏は「実力的には優勝するに十分ふさわしいチームに育ってきている」と期待を寄せる。ダンスの純度と、リーグ戦で培った勝負強さ。その両方を武器にCSへ挑む。
一方、Medical Concierge I'moon(ブロックHYPE 3位)は、リーグ参入6年目にして初のCS進出を果たした。リーグ唯一の女性ダンサーのみで構成されるチームで、しなやかさとJAZZHIPHOPならではのグルーヴ感を兼ね備えたダンスが魅力だ。

神田氏によると、レギュラーシーズンでMVDを2度獲得したMEMEを中心にチーム全体の底上げも進んでいるという。「今大会最大のダークホース」と評価しており、初の大舞台でどんな作品を見せてくれるのか、その注目度は高い。
●セミファイナル|FULLCAST RAISERZ vs. 1stトライアルマッチの勝者
FULLCAST RAISERZ(ブロックVIBE 1位)は、昨シーズン最下位からCS進出を果たした躍進チームだ。

“肉体派舞闘集団”と評される彼らは、クランプを武器に圧倒的なエネルギーを感じさせるパワフルな表現を得意とする。過去最高成績は21-22シーズンの準優勝。初戦シードの難しさはあるものの、神田氏は「2つの作品に命を込めるという意味では、すごく今回良い結果につながると思う」と語った。
●セミファイナル|CyberAgent Legit vs. 2ndトライアルマッチの勝者
CyberAgent Legit(ブロックHYPE 1位)は、ディフェンディングチャンピオンとしてレギュラーシーズン4連覇を達成。
ヒップホップやポップ、ロックなど幅広いジャンルを高いレベルで踊りこなすダンサーがそろい、その総合力はリーグ屈指。

神田氏も「一寸の狂いもないほどの精度を高めているコレオグラフィー能力」「テクニック」「構成の上手さ」と、その強さの理由を挙げる。
2年連続でレギュラーシーズンとCSを制する“完全優勝”まで、あと2勝だ。
そんな6強の中から、CyberAgent LegitのenaとFULLCAST RAISERZのKTRに、レギュラーシーズンの振り返りと大一番への意気込みを聞いた。
目指すはもちろん頂点。ただ、言葉の端々からは、磨き上げてきたスタイルやスキルを最高のステージで表現したいという思いもにじんでいた。
「接戦で勝てたという事実はとても悔しい」enaが見据える完全優勝/CyberAgent Legit・ena

―― 王者として臨んだ今シーズン。作品づくりにはどんなテーマを持っていたのでしょうか。
ena:昨シーズンの自分たちを超えないと結果はつかないと思って、去年よりいいものをつくりたいという思いで、毎ラウンド、各作品のショーディレクターに意見を伝えていました。
―― 順位争い接戦を制し、レギュラーシーズン4連覇。この結果をどう受け止めていますか。
ena:まずは素直にうれしいです。それと同時に、すごく安心しています。ただ、接戦で勝てたという事実はとても悔しいので、CSで圧倒的に勝てるように準備していこうと思っています。
―― 会場が東京ガーデンシアターからTOYOTA ARENA TOKYOへ移りました。会場の雰囲気はいかがでしたか。また、作品づくりに与えた影響はありましたか。
ena:初めて会場入りした時は、想像していたよりも広くてびっくりしたのを覚えています。ファンの皆さまからの温かい声援も、新しい会場になってさらに多く聞こえる気がしています。たくさんのオーディエンスの皆さまの心を動かす作品を届けられるように、どうしたら楽しませられるか。カッコいいと思ってもらえるか。日々アイディアを考えていました。
―― チームとして最もいい表現ができたラウンドありますか?その理由も教えてください。
ena:ROUND.2「GrooveStay Golden」です。元Executive CoachのAkihic☆彡さんにディレクションいただきました。Legitとして、挑戦的なグルービーでダンサブルな作品で、シンクロの内容もかなり攻めたものだったので結果が出るまでとてもドキドキでしたが、私たちのやりたいこと、伝えたいことが見ている人に伝わったんだなと踊り終わった後に思いました。
――Legit的レギュラーシーズンMVDを挙げるなら誰でしょうか。
ena:もちろん、みんなです。強いて挙げるとすると、KANATOかChris Ackeyです。
―― 優勝まで2作品。作品構成や振り入れなど、準備の手応えはいかがでしょうか。
ena:準備万端です!
―― バスケットボールやサッカーでは、CSのような短期決戦でチームを勢いづける「ラッキーボーイ」が現れます。Legitで、CSに向けて注目してほしいダンサーはいますか。
ena:Chris Ackeyです。
―― 最後に、CSのLegit的見どころと意気込みをお願いします。
ena:日々Legitを支えて、応援してくださる全ての皆さんに最大の感謝を込めて、最高の恩返しをします。
「僕たちが見たい景色はまだまだ先にある」KTRが見据える頂点/FULLCAST RAISERZ・KTR

―― 昨シーズンは悔しい最下位。作品づくりには、どんなテーマを持って今シーズンに臨んだのでしょうか。
KTR: なぜこのD.LEAGUEというフィールドで戦っているのか。ここにいるということは、勝つことに意味がある。何が足りてなく、なぜ勝てなかったのかをメンバーで考え、勝つことによりフォーカスを当てるということをチームで再認識しました。
―― 開幕から4ラウンド連続優勝。僅差のブロックを制しました。この結果はどう思っていますか。
KTR: 昨シーズンの悔しさを経て、チームでなぜ負けたのか、どうやったら勝てるのかを考え、一人ひとりが気持ちを一つにした結果がブロック優勝につながりました。素直にうれしいですが、僕たちが見たい景色はまだまだ先にあります。
―― 会場が東京ガーデンシアターからTOYOTA ARENA TOKYOへ移りました。会場の雰囲気はいかがでしたか。また、作品づくりに与えた影響はありましたか。
KTR:昨シーズンより大きな会場になり、見に来てくださるファンの皆さまの熱量も相まって、すごい熱気を感じました。作品づくりの面では照明演出なども変わり、会場が広くなった分、繊細な部分へのこだわりやクリエイティブがより重要だと感じながら作品をつくっています。
―― チームとして、一番いい表現ができたラウンドは?その理由もお聞かせください。
KTR:やはりROUND.1です。昨シーズン最下位から迎えた初戦ということで、「まずは負けられない」「力余すことなく全てをぶつける」という、みんなの熱い思いがこもったラウンドだったと思います。
――RAISERZ的レギュラーシーズンMVDを挙げるなら誰でしょうか。
KTR:INFINITY TWIGGZです。チームリーダーとして今シーズン全ROUNDに出場し、ディレクターの目指すビジョンや思いを誰よりも深く汲み取りながら、チームを一つにまとめ上げてくれました。
―― 優勝まであと2作品。作品構成や振り入れなど、準備の手応えはいかがでしょうか。
KTR:優勝をつかみ取るためには、事前の準備こそが最も重要だと考えています。ステージで自分たちの全力をぶつけるために日々精進を重ねており、正直、手応えしかありません! CSを楽しみにしていてください!
―― バスケットボールやサッカーでは、CSのような短期決戦でチームを勢いづける「ラッキーボーイ」が現れます。RAISERZで、CSに向けて注目してほしいダンサーはいますか。
KTR:KILLA TWIGGZです。今シーズン全ROUNDに出場し、チームの核となっているメンバーです。彼が放つ独特な空気感や、チームにもたらすポジティブな雰囲気が、必ずRAISERZを優勝へと導いてくれると思います。
―― 最後に、CSのRAISERZ的見どころ、意気込みをお願いします。
KTR:昨シーズンは最下位という悔しい結果だったことを考えると、今回のCS出場は、やっとスタートラインに立ったという印象です。ここからが本当の勝負!
僕たちが見たい景色はこの先にあります。みんなで笑って最高の景色をみましょう。
注目の大一番!「熱量を全身で感じてほしい」Dリーグ創設者・神田氏が語るCSの楽しみ方
「会場では、熱量を全身で感じながら、その没入感に浸ってほしいです。ダンスは生で見ると、上手い・下手だけではない、その瞬間にしかない生命力のようなものを感じられます。これは、一度見に来た方の多くが「はまってしまう」と言ってくださる理由にもつながっていると思います。まずは素直な気持ちで楽しんでほしいですね。
配信では、ダンスを冷静に見る楽しみ方と、感情を乗せて情熱的に見る楽しみ方の両方があると思います。その間で楽しむのか、それともどちらかに寄せて見るのか。ぜひ自分なりの見方を見つけて楽しんでいただければと思います。あっという間の2時間半になると思いますので、ぜひ集中して楽しんでください!」
【大会情報】D.LEAGUE 25-26 CHAMPIONSHIP
・日程:2026年5月31日(日)
・開場 / 開演:17:00 / 18:00
・場所:トヨタアリーナ東京
・ライブ配信:Dリーグ公式アプリ、スポーツナビ、ABEMA等で予定(無料)。
詳細は下記より。
https://linkbio.co/dleagueofficiallive (リンクは外部サイト)
取材協力=D.LEAGUE / CyberAgent Legit / FULLCAST RAISERZ
文=大橋裕之
写真=D.LEAGUE

