2021年に9チームでスタートしたプロダンスリーグ「D.LEAGUE」が、今秋より史上最多20チームの規模で開幕した。新規参入には昨季Bリーグ王者・長崎ヴェルカと縁の深いチームも。さらにダンス採点を一部支援するソニーのAI技術も導入された。変化と進化が入り混じるプロダンスリーグの今季に迫る。

7シーズン目が幕開け。初の大阪勢など4チームが新規参入

プロダンスリーグ「D.LEAGUE 26-27 SEASON」が10月6日、7日、トヨタアリーナ東京で開幕した。7シーズン目の今季は過去最多の20チーム体制となり、昨季に続き10チームずつの「BLOCK
HYPE」と「BLOCK VIBE」に分かれて戦う。

新規参入は4チーム。女性ダンサーのみで構成されたSBC NAIL the NAME(エスビーシー ネイル・ザ・ネーム)や、初の大阪・関西拠点チームのONODERAUSER RUNBULLS(オノデラ ユーザー ランブルズ)、BREXA EDGE(ブレクサ エッジ)、JTCC OVERRIDES(ジェイティーシーシー オーバーライズ)が大舞台に挑む。

画像: オーディションプログラムから生まれたフィメールチーム「SBC NAIL the NAME」©D.LEAGUE 26-27
オーディションプログラムから生まれたフィメールチーム「SBC NAIL the NAME」©D.LEAGUE 26-27

また、昨季で活動を終えたLIFULL ALT-RHYTHMを継承したAnker XEED(アンカー エクシード)も、モバイルバッテリーで知られるアンカー・ジャパンを新オーナーに迎えて参戦。さらに9チームでチームディレクターが交代するなど、変化に富んだ幕開けとなった。

初陣を飾ったAnker XEED。オーナー企業の手厚い支援も

新風を吹き込む5チームの中で開幕戦勝利を飾ったのは、BREXA EDGEとAnker XEEDのみ。特に6日のBLOCK HYPEでCHANGE RAPTURESに63.4-36.6で快勝したAnker XEEDの白星発進が光った。

画像: Anker XEED ©D.LEAGUE 26-27
Anker XEED ©D.LEAGUE 26-27

水色Tシャツの応援団が大歓声を送る中、チームは「THIS IS XEED」をテーマにワッキング、ロッキング、ポッピング、ブレイキンを融合させたパフォーマンスを披露。エースパフォーマンスでは、韓国を代表するダンサーであるWizzardが華のある踊りで、見る者を惹きつけた。

画像: エースパフォーマーのWizzard ©D.LEAGUE 26-27
エースパフォーマーのWizzard ©D.LEAGUE 26-27

審査員採点や配信・会場ジャッジの全6項目中5項目で相手を上回った。ALT-RHYTHMのダンサーでもあったリーダーのCHIHIROは試合後の囲み取材で、喜びを語っている。

「LIFULL ALT-RHYTHMからAnkerXEEDに変わって、メンバーのみんなと一緒にチームの絆をオフシーズンで培ってきたつもりです。『THIS IS XEED』という、自己紹介のようなところが今回のコンセプトで、個人の強さはもちろん、1つのチームとしての気持ちが団結したからこそ、勝利につながったんじゃないかなと思っております」

画像: CHIHIRO ©D.LEAGUE 26-27
CHIHIRO ©D.LEAGUE 26-27

さらに、新オーナー・アンカー・ジャパンの手厚いサポートにCHIHIROも感謝を口にする。

「(オーナーが)アンカーさんに決まった時は、熱っつー!と思いました(笑)」と切り出し、同社初のダンス事業に言及。「毎回すごく応援をしてくださっています。スタジオも新しく作ってくださったんですけど、本当にシャトルランができるぐらいの広さです。たくさんのサポートや愛を感じています」

新会社を立ち上げて参戦した同社は、地域連携やワークショップ開催も予定しており、ダンスを起点とした広がりが期待される。

審査にAI導入、現場の受け止めは?「面白いんじゃないか」

今季の大きな変化が、審査へのテクノロジー導入だ。全体の12.5%を占める「シンクロパフォーマンス」(8名の振りの揃いを審査)において、ソニーのマーカーレスモーションキャプチャー技術「LYNXCOPE」を活用した審査支援システムが導入された。

8台のカメラで捉えた動きのシンクロ率を数値化し、映像とともに審査員に提示する。ダンサーにセンサーを装着する必要がないため表現を損なわない点も特徴だ。なお勝敗を直接決めるのではなく、審査員の判断を補助する参考情報として活用される。

このAI導入を現場はどう受け止めているのか。過去に5シーズンジャッジを務めたPEET(Anker XEEDディレクター)は「今シーズンからAIが入ってくるということで、ちょっとやねこい(厄介)と思ったんです」と話すとともに、精緻な作品作りに向けた試行錯誤にも言及。「AI目線も含めてしっかり表現できるように、いろんな角度から動画を撮りながら、リハーサルをやっています」と明かした。

また、6日の開幕戦でMedical Concierge I'moon(メディカル コンシェルジュ アイムーン)に勝利を収め、シンクロパフォーマンスで圧倒したKADOKAWA DREAMS(カドカワドリームズ)のHINATA.M(ディレクターも兼任)は、前向きに捉える。

画像: KADOKAWA DREAMSのシンクロパフォーマンス ©D.LEAGUE 26-27
KADOKAWA DREAMSのシンクロパフォーマンス ©D.LEAGUE 26-27

「ダンスは常に進化するものだと思っていて、そんな中で(テクノロジーは)自分たちの表現の幅を広げてくれる存在なのかなと感じています。もちろん良い、悪い、いろんな意見があると思いますが、チャレンジする精神を持ち続けるには新しいことにトライしていく必要があるんじゃないかなと。Dリーグの取り組みの一環として、分かりやすくシンクロにテクノロジーが入るというのは面白いんじゃないかなと思っています」

「ほかのスポーツで言えば、F1もいろんな意見があると思いますけど、電気を取り入れたりしている(フォーミュラE)。誰も手をつけていないところに挑戦する、そのハートがすごく大事だと思っていて、自分はすごく前向きに捉えています。自分たちが踊るのは表現の手段の1つ。人間だけではなく、いろんなテクノロジーによって届かないところまで気持ちや表現が届くようになるのは、すごくプラスなんじゃないかと思っています」

リーグ屈指の実力と、毎ラウンド完成度の高い作品を披露するKADOKAWADREAMS。そのダンサー兼ディレクターの言葉だけに説得力がある。各チームのシンクロがさらに精緻化されていけば、より心を震わせるパフォーマンスに出会えそうだ。

全10ラウンドの熱戦へ。ダンスの枠を超えた広がりに期待

今季は各ブロック総当たりの9ラウンドに加え、ROUND.6にはダンサー個の魅力を魅せるサイファーラウンドも開催される。来年6月のチャンピオンシップには両ブロックの上位3チーム(計6チーム)が進出する。

また、ダンスの枠を超えた広がりも注目のひとつだ。Anker XEEDを支援するアンカー・ジャパンは、Bリーグ昨季王者の長崎ヴェルカのスポンサーでもあり、XEEDのダンサーたちが長崎のユニフォームを着て踊るSNS動画も公開中だ。加えて、CHIHIROの耳にコラボの要請も届いているという。

「アンカーさんも、ヴェルカの方たちも、私たちのダンスをぜひバスケの試合でやってほしいと声をかけてくださっています。メンバーの理恋(リコ)はもともとヴェルカでチアをやっていたつながりもあります。私としてもダンスを新しいかたちで、新しい場所で表現できるんじゃないかという楽しみと、その期待に応えたいという気持ちがあります」

同じくBリーグ・東京サンロッカーズと同オーナー企業を持つSEGASAMMY LUX(セガサミー ルクス)も、Bリーグの東京サンロッカーズとオーナー企業が同じという縁から、これまでバスケのオープニングアクトやハーフタイムショーでパフォーマンスを披露してきた。東京サンロッカーズは今シーズンからホームアリーナをトヨタアリーナ東京に移転。Dリーグも今季は全ラウンドを同アリーナで開催する。LUXは同じオーナー企業のBリーグクラブと同じ舞台でシーズンを戦う稀有なチームになった。

画像: SEGASAMMY LUX ©D.LEAGUE 26-27
SEGASAMMY LUX ©D.LEAGUE 26-27

今シーズンよりディレクターに就任したSHINJIも、バスケとダンスの共創を描く。

「ダンスは音楽があり、それを使って踊るものですが、チームで戦うという意味では、他の競技と一緒の部分がすごくある。そういうかっこいい姿をダンスで表現するということは過去にもやっていたんですが、サンロッカーズさんともコラボじゃないですけど、Dリーグと絡めて面白い作品だったり、音楽だったりができたらいいなと思っています」

この他にも、dip BATTLES(ディップバトルズ)を運営する株式会社ディップは、Bリーグのさいたまブロンコスのオーナーも務め、ダンサーがディレクターとしてブロンコスのパフォーマンスチームに携わる取り組みも。また個人としても、KOSÉ 8ROCKS(コーセー エイトロックス)に所属するShigekixが先日のアジア競技大会で2連覇を達成。ダンスで活動できる場、活躍できる場が着実に広がっている。

画像: KOSÉ 8ROCKS ©D.LEAGUE 26-27
KOSÉ 8ROCKS ©D.LEAGUE 26-27

ダンスの可能性を追求して発展してきたDリーグ。今シーズンもトヨタアリーナ東京からまだ見ぬ表現が生まれそうだ。

文=大橋裕之

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