長崎で開催されたBリーグ オールスターウィークエンドが幕を閉じ、レギュラーシーズン後半戦を目前に控えた1月23日のこと。千葉ジェッツはジェフ・ギブスの加入を発表した。
昨シーズン限りで現役を引退し、今シーズンは越谷アルファーズでサポートコーチとして新たなキャリアを歩んでいただけに、驚いたファンも多いだろう。
その翌日、1月24日にLaLa arena TOKYO-BAYで行われたB1第19節・琉球ゴールデンキングス戦で、早速コートに立ち、大きな歓声が送られた。身長188㎝。45歳の“小さな巨人”が最前戦に戻ってきた姿には、指揮官や対戦相手からも賞賛の声が寄せられている。

昨年5月に引退も「再び選手としてプレーしたい」

ジェフ・ギブスは、Bリーグ史に名を刻む大ベテランだ。1980年生まれで現在45歳。アメリカ出身で、ドイツでのプレーを経て、2010年にトヨタ自動車アルバルク(現・アルバルク東京)へ加入。以来、日本でのプロキャリアを歩んできた。

Bリーグが開幕した2016-17シーズンには栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)へ移籍し、チームの初代Bリーグ制覇に大きく貢献。その後も長崎ヴェルカ、サンロッカーズ渋谷とわたり歩き、2024年にB1に初昇格した越谷アルファーズに加入。同年10月に2024-25シーズンをもって引退を表明し、現役ラストシーズンを送っていた。

身長はセンターとして小柄な188㎝。しかし、アメリカンフットボール選手を彷彿とさせる筋骨隆々のフィジカルと、高いバスケットIQを武器にインサイドを主戦場として活躍してきた。2メートルを超えるビッグマンが居並ぶ中で、常に異彩を放つ存在だった。

選手としてコートに別れをつげたのは、2025年5月4日一戦。古巣・宇都宮との試合で26得点を挙げ、元チームメイトの竹内公輔に1対1を仕掛けるなど、21シーズンにわたる選手生活の締めくくりにふさわしい姿を見せた。

しかし、その“小さな巨人”は45歳にして、千葉ジェッツの一員として、現役復帰を果たす。今シーズンは越谷アルファーズでサポートコーチを務めていただけに、この決断を驚きをもって受け止めたファンや選手はも多かったはずだ。

1月23日に千葉Jより発表された加入リリースで、ギブスは越谷とのサポートコーチ契約を解除し、再びコートへ戻る決断に至った理由を次のように語っている。

「チームスタッフとして新たなキャリアを歩み始める中で、再び選手としてプレーしたいという想いは周囲も感じるほど強くなっていき、その結果、もう一度コートに戻る決断をしました。少しでもチームの力になれればと思っています。この想いを理解し、復帰を受け入れてくださった越谷アルファーズ、そして千葉ジェッツの両クラブには心から感謝しています」

また、現役復帰の背景には、千葉J側の事情もあった。東地区で首位争いを繰り広げるなか、チームは昨年末に負傷したセンターのジョン・ムーニーに代わる戦力補強を迫られていた。

加入リリース内で、千葉Jの池内勇太ゼネラルマネージャーは「昨年12月28日の長崎戦でジョン・ムーニー選手が負傷しました。ギリギリまで今週末からのゲーム復帰を目指し、治療とリハビリに励んでおりましたが、経過が思わしくなく、今週始めに、出場は困難であることと、完全なる復帰のためにオペを実施することを決定いたしました。そうした状況下で、チームを支えてくれる新たな選手を探す中、ギブス選手にオファーを出させていただいたというのが経緯になります」と説明した。

8か月ぶりにコートへ立った選手へ…「究極のプロフェッショナル」「インスパイアされる」

電撃発表から一夜明けた1月24日の琉球ゴールデンキングス戦。LaLa arena TOKYO-BAYのコートに、ギブス(#34)の姿があった。選手入場でその名がアナウンスされると、スタンドからは割れんばかりの大歓声が飛んだ。

ベンチスタートで迎えたこの試合、出番が回ってきたのは1クォーター残り5分8秒。琉球のアレックス・カーク(#53 / 211cm)と言葉を交わす場面も見られ、この日は20分36秒にわたってコートに立った。富樫勇樹(#2 / 167cm)らガード陣へのスクリーン、カークやジャック・クーリー(#45 / 206cm)といった相手センター陣とのディフェンスで体を張り、4クォーターにはプロ22シーズン目の得点も記録した。

画像1: 8か月ぶりにコートへ立った選手へ…「究極のプロフェッショナル」「インスパイアされる」

ただ、チーム全体に目を向けると、この一戦は琉球に圧倒される内容だった。1クォーターから4本の3ポイントシュートを許し、ミスも重なって9-26と大きく先行される。2クォーターには速攻や好守から渡邊雄太(#1 / 206cm)がダンクを決めるなどしたが、点差は縮まらず29-49で後半へ。

3クォーターは富樫が3本の3ポイントシュートを射抜き、ギブスのスクリーンからドライブをねじ込むなど13得点を挙げたものの流れは変わらず、最終スコア61-92で大敗を喫した。

試合後、トレヴァー・グリーソンHCは記者会見で「非常に残念な内容になってしまった」と肩を落とし、ムーニー不在の影響にも言及した。

画像2: 8か月ぶりにコートへ立った選手へ…「究極のプロフェッショナル」「インスパイアされる」

「チームにとっても組織にとっても本当に大きな存在だったと思いますし、彼がプレーをするときはやっぱり気持ちを込めて常にプレーしてくれて、だからこそファンに愛されてチームに愛されているのだと思います。ただ、今日に関してはエナジーが抜けている部分がありました。この逆境の中で、誰が声を掛けるのか、どうやってチームをまとめるかをここから探っていかないといけないと思っています」

一方で、指揮官は復帰初戦となったギブスを称えた。予定よりも長い起用だったというが、「チームとしてタフネスさが欠けていたり、スクリーンをしっかりセットするところ、あとリバウンドのところですね。そういったところで彼の良さがチームにとって大きかったと思います。彼は究極のプロフェッショナルで(合流してから)練習もそこまではしなかったのですが、必要なことをやってくれたのかなと思います」と語った。

そして会見に姿を現した“小さな巨人”。報道陣から「お帰りなさい」「WelcomeBack」という言葉が投げかけられるなか、昨春の宇都宮戦以来、8か月ぶりにコートへ復帰した心境を明かした。

画像3: 8か月ぶりにコートへ立った選手へ…「究極のプロフェッショナル」「インスパイアされる」

「バスケットボールをできる状態ではありますが、ゲームシェイプというか、ゲームに100%挑める状態にまだ達していません。ただ、数日かければ間違いなく元の状態にしっかり戻せると思うので、しっかりと取り組んでいきたい」

さらに、この復帰劇を称えたのが琉球のカークだ。Bリーグ9シーズン目を迎えるベテランは、ギブスとマッチアップを繰り返してきた間柄。記者からギブス復帰の感想を問われると「去年、彼があの引退宣言をしてからいつか絶対に戻ってくるだろうと自分自身も思っていました。もうその通りになったと思っています」と笑みを浮かべた。さらに、「Bリーグに限らず、バスケの世界ですごくユニークな選手だと思っていますし、シックススリー(6フィート3インチ。190.5cm)のセンターですごくサクセスストーリーを紡いでいる選手でもあると思っています」とも話した。

画像4: 8か月ぶりにコートへ立った選手へ…「究極のプロフェッショナル」「インスパイアされる」

34歳のカーク自身も、ギブスのように10年先までプレーをやってみたいかと尋ねると、ちょっと苦笑いしながら、次のように教えてくれた。

「既に僕は3回腰の手術をしているのと、奥さんがあと10年間プレーしていいよと言ってくれるかわからないので、ちょっとそこ(の回答)は伏せておきます(笑)。現実的には引退後はコーチやフロントオフィス、GMという道も考えています。僕は、ギブス選手にすごくインスパイアされていますし、彼に限らず(ジョシュア)スミス選手、ギャビン・エドワーズ選手(宇都宮)、日本人の安藤誓哉選手(横浜ビー・コルセアーズ)や田中大貴選手(サンロッカ-ズ渋谷)からもすごくインスパイアされています。Bリーグ自体が年々タフなリーグになっている中で、またどのチームもNBAのドラフトにかかるような選手と契約をしている中で、Bリーグ自体が我々選手だけではなくて子どもたちにもすごくインスパイアできるようなリーグになってくれればなと思っています」

成長を続けるBリーグに舞い戻ったジェフ・ギブス。45歳で現役引退という前例なきチャレンジは、ライバルたちだけでなく、ファンやブースター、そして次世代の選手たちにも大きな刺激を与えてくれそうだ。

他会場の結果

Bリーグ第19節では、東地区の首位攻防戦が注目を集めた。同率で並んでいた、宇都宮ブレックスとレバンガ北海道が激突。
GAME1では、アウェーに乗り込んだ北海道がケビン・ジョーンズの20得点を筆頭に、6人が2桁得点を記録。77-95で快勝し、Bリーグになって初めて首位へ浮上。
しかし、GAME2では宇都宮が反撃。司令塔のD.J・ニュービルが38得点を叩き出す活躍を見せ、延長戦の末に108-106で勝利。首位の座を奪い返している。

また、若い力も確かな一歩を踏み出している。昨冬のウインターカップで東山高校を準優勝に導いた佐藤凪が、特別指定選手として横浜ビー・コルセアーズに加入。
アウェーで行われた京都ハンナリーズ戦のGAME1でBリーグデビューを果たすと、ジャンプショットで初得点も記録した。第21節(1月31日、2月1日)の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦でのホームデビューにも期待が高まっている。

【結果】B1 第19節(1月24日 / 25日)

・秋田 89-98 川崎 / 秋田 97-77 川崎
・茨城 81-83 越谷 / 茨城 81-88 越谷
・宇都宮 77-95 北海道 / 宇都宮 108-106 北海道
・名古屋D 83-78 三河 / 名古屋D 77-62 三河
・三遠 70-95 長崎 / 三遠 95-87 長崎
・FE名古屋 91-89 広島 / FE名古屋 74-77 広島
・大阪 76-91 A東京 / 大阪 88-105 A東京
・富山 75-78 SR渋谷 / 富山 79-89 SR渋谷
・千葉J 61-92 琉球 / 千葉J 63-65 琉球
・群馬 92-76 滋賀 / 群馬 92-76 滋賀
・A千葉 73-85 佐賀 / A千葉 73-79 佐賀
・京都 76-63 横浜BC / 京都 82-71 横浜BC
・島根 76-82 仙台 / 島根 78-83 仙台

【順位表】B1 第19節終了時点(2026年1月25日)

東地区
1位|宇都宮ブレックス|25勝7敗(.781)
2位|千葉ジェッツ|24勝8敗(.750)
3位|レバンガ北海道|24勝8敗(.750)
4位|群馬クレインサンダーズ|21勝11敗(.656)
5位|アルバルク東京|21勝11敗(.656)
6位|仙台89ERS|19勝13敗(.594)
7位|サンロッカーズ渋谷|13勝19敗(.406)
8位|越谷アルファーズ|12勝20敗(.375)
9位|横浜ビー・コルセアーズ|11勝21敗(.344)
10位|茨城ロボッツ|9勝23敗(.281)
11位|アルティーリ千葉|9勝23敗(.281)
12位|川崎ブレイブサンダース|8勝24敗(.250)
13位|秋田ノーザンハピネッツ|6勝26敗(.188)

西地区
1位|長崎ヴェルカ|28勝4敗(.875)
2位|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ|25勝7敗(.781)
3位|シーホース三河|20勝12敗(.625)
4位|琉球ゴールデンキングス|20勝12敗(.625)
5位|広島ドラゴンフライズ|18勝14敗(.563)
6位|佐賀バルーナーズ|17勝15敗(.531)
7位|島根スサノオマジック|17勝15敗(.531)
8位|三遠ネオフェニックス|14勝18敗(.438)
9位|大阪エヴェッサ|13勝19敗(.406)
10位|ファイティングイーグルス名古屋|13勝19敗(.406)
11位|滋賀レイクス|11勝21敗(.344)
12位|京都ハンナリーズ|9勝23敗(.281)
13位|富山グラウジーズ|9勝23敗(.281)

文・写真=大橋裕之

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