初の4強入り、アウェーで王者をスイープ、そしてGAME3にもつれ込んだ死闘――。10年目のBリーグ王者を決める戦いは、今年も手に汗握る熱戦の連続だった。
頂点まで、あと4勝。5月15日(金)から始まるセミファイナルを前に、その顔ぶれを振り返る。
長崎や琉球がセミファイナルへ。名古屋Dは王者・宇都宮を撃破
チーム創設5年目。初のセミファイナル進出を一番乗りで決めたのは、長崎ヴェルカ(西地区1位)だ。CS初陣となったクォーターファイナルでも、レギュラーシーズンで培った攻撃力を発揮。平均91.2得点を誇るB1最強の矛で、ハピネスアリーナにアルバルク東京(東地区4位/ワイルドカード4位)を迎え撃った。
GAME1(5月7日)は5人が2桁得点をマークして93-78で快勝。翌GAME2は96-56と40点差をつける圧勝劇を演じた。エースのイ ヒョンジュン(#5/201cm/SG・SF)が27得点、10リバウンドでチームをけん引。次戦まで1週間空くこともあり、コンディション面でも優位に立てそうだ。

続いてセミファイナルへ駒を進めたのは、琉球ゴールデンキングス(西地区3位/ワイルドカード2位)。シーホース三河(西地区2位)とのアウェー戦に臨み、GAME1(5月8日)を65-79で制して先勝した。
ジャック・クーリー(#45/206cm/C)や、アレックス・カーク(#53/211cm/C)を軸にインサイドで主導権を握ると、4クォーターには松脇圭志(#15/185cm/SG)が2本の3ポイントシュートをヒットさせた。続くGAME2も、岸本隆一(#14/176cm/PG・SG)らが得点を重ね、79-82で難敵を撃破。これで5季連続のクォーターファイナル突破。沖縄サントリーアリーナへ戻る。

また、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(西地区4位/ワイルドカード3位)も歓喜した。6連敗でレギュラーシーズンを終え、不安を抱えたままアウェーで宇都宮ブレックス(東地区1位)と激突。2連覇を狙う王者候補を相手に大きなアップセットを起こした。
GAME1(5月9日)は、後半に加藤嵩都(#3/178cm/PG)が流れを変え、司令塔・齋藤拓実(#2/172cm/PG)が24得点の大活躍。82-89で先勝すると、GAME2では今村佳太(#30/191cm/SG・SF)が23得点を叩き出し、アーロン・ヘンリー(#11/198cm/SF)も攻守で存在感を発揮した。4クォーターには好守から速攻へつなげる名古屋Dらしい戦いを展開。敵地で王者を連破し、2季ぶりのセミファイナル進出を決めている。

千葉Jが初戦敗退の逆境を乗り越える。GAME3で金近廉が躍動
一方、クォーターファイナルの戦いで唯一GAME3までもつれ込んだのが、LaLa arena TOKYO-BAYで開催された千葉ジェッツ(東地区2位)と、群馬クレインサンダーズ(東地区3位/ワイルドカード1位)の戦い。まさに死闘と呼ぶにふさわしい3連戦となった。
GAME1(5月9日)では、千葉Jの渡邊雄太(#1/206cm/SF・PF)が脳震盪のため欠場。群馬もヨハネス・ティーマンを欠く状況だったが、2クォーターに淺野ケニー(#16/198cm/SF)が活躍するなど28-14の時間帯をつくって主導権を握る。さらに、ケリー・ブラックシアー・ジュニア(#8/208cm/C・PF)が24得点16リバウンド8アシストの大活躍。群馬が68-87で先勝した。

プロ2年目・淺野の好プレーに対して、カイル・ミリングHCは「ティーマン選手やエージェー・エドゥ選手が(後半)出られない中で、すごく良い働きをしてくれたと思います」とコメント。ただ、指揮官は「千葉さんは非常に強いチーム」と次戦に向けて警戒感を示し、辻直人(#9/185cm/SG)も「もう1勝をなんとしても獲りたい」と語るなど、クラブ初のCS勝利にも浮かれた様子はなかった。

対する千葉Jは、崖っぷちに追い込まれる形となった。試合後、富樫勇樹(#2/167cm/PG)が「彼の存在がやっぱり大きかった」と渡邊欠場の影響に触れつつ、自身は19得点をマーク。レギュラーシーズン終盤から控えに回り、シュートを打つ機会が減っていたなかで、改めて存在感を示した。
富樫は「最後の15試合ぐらい、かなりチームの助けになれなかった」と振り返りながらも、「CSに向けて(準備を)やってきました。シュートの部分だけでいったら上手くいっていると思う。しっかり勝利に繋げるため、チームとしてどう修正するかが大事」と前を向いていた。
そして一夜明け、千葉Jの反転攻勢が始まる。GAME2では渡邊が復帰し、ナシール・リトル(#8/199cm/SF・PF)が33得点、ディー・ジェイ・ホグ(#10/207cm/SF・PF)が22得点をマーク。85-79で難敵を下し、シリーズを1勝1敗のタイに戻した。

さらに11日のGAME3では、千葉Jのディフェンスが光る。前半こそ37-41で折り返したが、3クォーターで相手を6得点に封じ、52-47と逆転。4クォーターに入ると、果敢なアタックでファウルを誘った渡邊らがフリースローだけで14得点を積み重ね、72-68で接戦を制した。これで4大会連続のセミファイナル進出を決めた。
また、勝負のかかった一戦で印象的だったのが、富樫と金近廉(#12/197cm/SF)の存在だ。富樫は前半だけで8得点を決め、前半終了間際の3ポイントシュートは点差を詰める貴重な一発に。ガッツポーズも飛び出し、チームを勢いづける一撃となった。

そして金近も、この日は4本の3ポイントシュートを含む14得点を記録。GAME1では渡邊に代わってスタメン出場したものの、不完全燃焼に終わっていた。それでも試合後には「誰かがケガで休んでも、他の人がカバーし合うということをシーズン中もやっていました。今日負けてしまったのは、すごく悔しいですけど、また明日切り替えて出だしからやっていくしかない」と前を向いていた23歳。大舞台で、その言葉通りついに輝いた。

舞台は九州・沖縄へ。長崎vs.千葉J、琉球vs.名古屋D
クォーターファイナル全9試合を終え、いよいよ5月15日(金)からCSはセミファイナルへ突入する。2戦先勝で、頂上決戦の舞台・横浜アリーナへ駒を進めるのはどのチームか。
まず、長崎はハピネスアリーナで千葉Jと対戦する。タフなゲームが続くなか、他チームより休養期間が長いことに加え、再びホームで戦えるアドバンテージは大きい。
14日の記者会見で狩俣昌也(#4/178cm/PG)は「セミファイナルまでは僕たちはホームコートで戦える。長崎のブースター・ファンの皆さんの声援というのは大一番になった時、すごい力があるので、その力も借りながら戦っていきたい」とコメント。クラブ史上初のCS制覇へ、一気にファイナルまで駆け上がれるか。

対する千葉Jは、中3日で敵地に乗り込む。タイトなスケジュールではあるが、今シーズンは大黒柱ジョン・ムーニーの離脱や、CS初戦で渡邊を欠くなど、数々の試練を乗り越えてきた。
GAME3後のフラッシュインタビューで、田代直希(#4/188cm/SG・SF)は「いま勢いがあると思うので、この勢いのまま乗り込んで絶対に2連勝して横浜で(ファンの)皆さんに会いたい。横浜で会いましょう」と宣言。3季ぶりのファイナル進出を狙う。

そして、琉球はホームで名古屋Dを迎え撃つ。岸本隆一(#14/176cm/PG・SG)は三河とのGAME2後にチーム公式サイトを通じて、「チームが積み上げてきた経験値の大きさが、このクォーターファイナル突破を後押ししてくれたと感じています。このような素晴らしい舞台でプレーできる幸せを噛み締めながら、気負いすぎることなく、セミファイナルでも自分たちのバスケットボールを徹底していきたいと思います」と語った。5季連続のファイナル進出へ、経験値が試されるシリーズになる。

その強敵に挑むのが、名古屋Dだ。奇しくも今村にとっては古巣との対戦。宇都宮とのGAME2後、フラッシュインタビューでは「すごく楽しみ」と明かした。ただ、名古屋Dのエースとして、個人的な感情を優先するつもりはないようだ。「自分のやるべきこと、チームのやるべきことを率先してやった結果が勝利につながったと思うので、相手関係なくやるべきことをやっていきたい」と気を引き締めた。クラブ初のファイナル進出へ、再び挑戦が始まる。

九州、そして沖縄を舞台に行われる10年目のチャンピオンを決める戦いの一幕。現地で、そして配信を通して、今週末も日本のバスケットボールシーンを熱狂させる戦いが待っている。
B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26【今後の予定】
CSセミファイナル
※2戦先勝方式。GAME3はGAME2終了時に1勝1敗の場合のみ開催
■ 長崎ヴェルカ vs. 千葉ジェッツ
【会場】
ハピネスアリーナ(長崎県)
【日程】
GAME1:5/15(金)19:00
GAME2:5/16(土)14:00
GAME3:5/18(月)19:05
■ 琉球ゴールデンキングス vs. 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
【会場】
沖縄サントリーアリーナ(沖縄県)
【日程】
GAME1:5/15(金)19:00
GAME2:5/16(土)17:05
GAME3:5/18(月)19:35
文=大橋裕之
