オープニングカードは、10年前と同カードとなるアルバルク東京と琉球ゴールデンキングスの一戦だ。日本のバスケットボールシーンは、この秋の象徴的な日を機に、一段と大きな成長を遂げるに違いない。
B.革新でリーグを再編。最高峰カテゴリーは26チーム体制
Bリーグは、「B.革新」によって全国55クラブを売上、入場者数、アリーナの経営的な指標に基づき再編成した。過去10年にわたって親しまれてきたB1からB3までの体制から、今秋より「Bプレミア」(26チーム)、「Bワン」(25チーム)、「Bネクスト」(4チーム)の3カテゴリーへと生まれ変わる。

その最高峰カテゴリーであるBプレミアが9月22日の開幕戦で激突するのが、A東京と琉球だ。2016年同日に国立代々木競技場第一体育館で行われた歴史的な一戦が10年の時を経て、再びオープニングカードとして組まれた。当時、試合の模様はゴールデンタイムにフジテレビで地上波生中継され、世界初となる全面LEDコートが敷かれたきらびやかな空間は大きなインパクトを与えた。結果はA東京が80-75で琉球を破り、バスケ新時代が幕を開いている。
そして今秋、次の10年を占う開幕戦の舞台となるのは、2025年に竣工したトヨタアリーナ東京だ。収容人数10,000人を誇る国内屈指のバスケットボール専用アリーナは、どこに座ってもコートに向かう設計のスタンドや、全席レザーシートによる快適な座り心地が魅力だ。充実した音響設備に加え、センターハングビジョンやリボンビジョンといった最新鋭の映像設備も完備されて、極上のエンターテインメント空間を楽しむことができる。
「ファンの皆さんを楽しませる義務がある」(A東京・テーブス)
歴史的一戦に臨む両チームは、ともに新指揮官を迎え、これまでのスタイルからの進化を目指している。
ホームのA東京は、過去4シーズン指揮を執ったデイニアス・アドマイティス氏が退任し、ライアン・リッチマン氏がヘッドコーチに就任した。NBAのワシントン・ウィザーズでアシスタントビデオコーディネーターやアシスタントコーチなどを歴任し、2023-24シーズンからはシーホース三河を率い、現在はバスケットボール男子日本代表のアシスタントコーチを務めている。
リーグ屈指の堅守を誇るA東京だが、2017-18シーズンから連覇以降、チャンピオンシップでは苦戦が続き、リーグ優勝から遠ざかっている。リッチマン新体制の下、8季ぶりのBリーグ制覇、天皇杯連覇、EASL(東アジアスーパーリーグ)制覇の3冠達成に向け、チームは準備を進めている。
司令官のテーブス海は「一人ひとり、ディフェンスができる選手がそろっているので、オフェンスの効率の良さ、ペースを上げる。今までのアルバルクになかったトランジションバスケットにチャレンジしようとしています」と手応えを語る。

ロスターは、テーブスや小酒部泰暉、安藤周人ら昨季の8名に加え、日本でも実績十分のスコアラーであるディー・ジェイ・ホグ(千葉ジェッツ)を、飯田遼(川崎ブレイブサンダース)やキヨンテ・ジョンソン、ラクラン・オルブリッチの4名が新たに加入したチームの雰囲気について「めちゃくちゃ良い」と語るテーブスは、9月22日に向けて次のように意気込みを明かした。

「大事な一戦をできるのはすごく興奮します」(琉球・川真田)
対する琉球も、新体制でBプレミアに挑む。昨シーズンまで5季連続でBリーグファイナルへ導き、2022-23シーズンの初優勝などクラブの一時代を創った桶谷大氏が退任。後を受け継いだのは、アンソニー・マクヘンリー アソシエイトヘッドコーチ(AHC)だ。bjリーグ時代の2008年から琉球の選手として活躍し、引退後はアシスタントコーチとしてチームを支えたレジェンドが、今度は指揮官として新たな歴史を刻む。
これまでの琉球と言えば、ジャック・クーリーらを中心にインサイドでアドバンテージが取れるビッグマンを攻防の柱に据えてきたが、マクヘンリーAHCは「速いテンポでボールがよく動く、ファンが観ていてワクワクするようなバスケットボール」を掲げる。
選手編成では14シーズン在籍した岸本隆一らがチームを離れたものの、クーリーや小野寺祥太、脇真大らの主力は残留。そこにデイビッド・ヌワバ(三遠ネオフェニックス)、キーファー・ラベナ(横浜ビー・コルセアーズ)、グラント・ジェレット(宇都宮ブレックス)、川真田紘也(長崎ヴェルカ)といった実力者が加わった。

ジェレットはインジュアリーリスト入り、川真田も骨折からの回復途上であるため、先のティップオフカンファレンスでは開幕戦出場への明言は避けたものの川真田は「伝統のあるチームの一員として、Bプレミアの初戦の大事な一戦をできるのはすごく興奮しますし、楽しみでもあります」と、言葉を弾ませた。
男子日本代表でも経験を積んだ日本人ビッグマンは、新天地でもディフェンスやリバウンドなどでの奮闘が期待される。Bリーグ参戦以来の6年間で対戦する外国籍選手のレベルが上がっている現状について「嬉しさもあり、大変さも両方ある」と明かしつつ、外国籍選手が同時出場できる人数制限が撤廃される新ルールの下でも奮起も誓った。
「オンザコートフリーの新しいルールが決まって、どうなるかはまだやっていないので分かりませんが、僕の意見としてはメリット・デメリットの両方あるようなルールだと思っています。メリットを自分で勝ち取れるように頑張っていきたいと思っています」
幕を開けるBプレミアに対する、富樫や篠山、岸本の想い
Bプレミアの開幕戦を皮切りに、全国各地でレギュラーシーズンがスタートする。B.革新によってオンザコートルールの変更だけでなく、戦力均衡化を目的としたドラフトやサラリーキャップ制度なども導入され、日本のバスケットボールシーンには様々な変化が訪れている。
ティップオフカンファレンスで、富樫勇樹(千葉ジェッツ)は次のように語っている。
「今まで以上に、どのチームがどれぐらい勝つのか。(以前は)なんとなくシーズン前にほとんどその(予想)通りに終わることが多かったような気がしていたけど、そこがちょっと読めないところが面白いと個人的にしています。たぶん、そういう意図もあってBプレミアが始まっていると思うので本当に楽しみにしています」

また、新たにユニクロがBリーグパートナーに決定した背景を受け、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)は「誰もが知るブランドと、一緒にいろんなことをやらせていただく中で、さらに加速度的にBリーグ自体が広がっていけばいいなと感じています」と期待を込めた。

一方、今オフにキングスから京都ハンナリーズへ移籍した岸本は、時代が変わりゆく中でも「変わらない部分」の大切さに目を向けていたのが印象深い。変化のグラデーションを感じつつ、9月22日を機により良いバスケットボールシーンが広がっていくことへの期待をこう口にする。

「これまでと変わることはない部分でいうと、子どもたちにとってどうあるべきか。今までと変わらず、自分自身を表現していった先に、新しい未来が待っていると思うので、そこは変わらずにしっかりと表現していきたいと思います」
文=大橋裕之

