「Bプレミア」の開幕戦となったアルバルク東京vs.琉球ゴールデンキングスの一戦では、両チームの指揮官が新任だったように、今秋は多くのチームが新ヘッドコーチを迎えて船出した。その数26チームの内12チームに及ぶ。男子日本代表ヘッドコーチを兼務する桶谷大氏をはじめ、海外から実績あるコーチを招くクラブも。60試合という長丁場のレギュラーシーズンでチームがどう変化していくのか、大きな見どころになるはずだ。

12チームで新指揮官に。リッチマン氏は練習から「カオス」

Bリーグの新たなトップカテゴリー「Bプレミア」が開幕した。新参戦する26チーム中12チームで指揮官が交代した状況は、今季の大きな注目点だ。ヘッドコーチが(HC)が変われば、当然スタイルも大きくアップデートされる。

開幕戦を勝ち切ったA東京のライアン・リッチマンHCもその一人だ。前任者たちが築いた規律あるバスケットボールを土台に、新しいスペーシングと速いペースで仕掛けるスタイルを取り入れ、今季の3冠を目指している。

画像: 12チームで新指揮官に。リッチマン氏は練習から「カオス」

そのため、リッチマン氏はチーム練習から「カオスの状況」をつくりだしているという。選手をあまり慣れていない環境に置き、主体性や判断力を養うためだ。テーブス海は「練習メニューがそこまで説明されずに始まるけど、いざ俺らも!えっどういうルールなの?みたいな。でも(リッチマンHCも)答えず、自分たちで考える状況をつくって、選手たちがコミュニケーションしてカオスも慣れていくようなシチュエーション」と話し、「結構初めて」の経験だと明かす。

琉球から新天地へ「一番やりがいのある川崎で指揮を」

指揮官交代で最も注目を集めたのが川崎ブレイブサンダースだ。過去2シーズン低迷した強豪の再建を託されたのが、桶谷大HCである。指導歴20年を誇る桶谷氏は、琉球ゴールデンキングスを初優勝に導くなど5シーズン連続でファイナル進出を果たし、天皇杯も制した名将だ。

画像1: 琉球から新天地へ「一番やりがいのある川崎で指揮を」

2026年2月からは男子日本代表HCも兼務する桶谷氏は川崎の就任に際し「川崎というチームは伝統があって、皆から強豪と言われるチームだったと思っています。それを取り戻したいという思いがあります。今回オファーをいただいたときも、他のどこのクラブよりもその思いが強いと感じました。自分自身でも『琉球の後にどこで指揮をとるか』と考えたときに、一番やりがいのある川崎で指揮をとりたいと思いました」と熱い意気込みを残している。

迎えた9月26日のホーム開幕戦。昨季のチャンピオンシップ(CS)4強の名古屋ダイヤモンドドルフィンズに挑んだ川崎は、アジア競技大会銀メダルのアレックス・カーク(前琉球)のほか、荒谷裕秀(前仙台)、マット・ボンズ(前大阪)、ジェイデン・リディの新戦力を揃えて臨んだ。

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しかし、1クォーターこそカークを起点にインサイドにボールを入れて攻撃を仕掛けるも、ペースは徐々に名古屋へ。14-16で迎えた2クォーターには17-30と大きく差を広げられ、後半に入るとさらに相手が得意とする強いディフェンスに煽られてミスから失点。最大34点差をつけられるなど63-93で敗れた。リバウンドの攻防ではほぼ互角だったが、25ターンオーバーから35失点を喫した。試合終了のブザーを待たずして、席を立つ観客の姿もあったほどだ。

指揮官が嫌いな三原則…CS返り咲きへ求める基準とは?

桶谷HCは会見で「個対個のフィジカルのところで負けている」と言及。自身が嫌いな三原則「Lazy(怠惰)」「Selfish(自己中心)」「Careless(不注意)」を挙げ、「やっている以上は自分たちで負けたと言って終われる話ではない」と、選手へ強く伝えたことを明かした。

ボールをもらう時に相手をしっかりと押し込まずにディフェンスに煽られてターンオーバーを犯す。オフェンスでしっかりとスクリーンヒットをしない。ディフェンスをやってもセパレーション(オフェンスとのズレ)を簡単に作られる。ひとつ一つのファンダメンタルが、試合途中から丁寧さを欠いたと指摘した。

指揮官は「力負けしました、名古屋の方が実力上です。そういう話じゃないと思う。あす選手たちはやってくれると思います」と話すとともに「まだまだ、彼らができると思っている」と語り、CSを見据えた高い基準を求めた。

「自分たちをもっと信頼するというか、相手からちょっと良いプレーが出たとしても、その次にヤバイとなるのではなく、冷静にその次、その次とファイトし続けるのが大切だと思います。ファイナルは当たり前にそういう世界じゃないですか。CSに入ってくるチームは当たり前にレギュラーシーズンから、そのスタンダードでやろうとしている。僕らが本当にCSに入りたかったら、そういうレベルでやろうぜという話だと思います」

ベテランの篠山竜青も、変化の過渡期にあるチームの現状を捉えている。

「うまくいかない時にどうやって耐えるか。それがやっぱり分かれ道になると思っています。その部分でまだ粘り腰というか、苦しい時にこれをやれば大丈夫というところがまだ掴みきれてないところがある。そこが一番の違いだと思うので、自分たちでどうやって踏ん張れるかみたいなところは作っていかなきゃいけない段階なのだろうと思います」

画像: 指揮官が嫌いな三原則…CS返り咲きへ求める基準とは?

豪州、イタリア、ハンガリー出身…国際色豊かなBプレミアのHCたち

Bプレミアには、ほかにも多彩な新指揮官がそろっている。昨季CS進出の8クラブのうち7クラブで指揮官が交代しており、その顔ぶれは非常に国際色豊かだ。

昨季Bリーグ初優勝の長崎ヴェルカで指揮を執るのは、ディーン・ヴィッカーマンHC。オーストラリア出身で、馬場雄大が過去に所属したNBL・メルボルン・ユナイテッド(2017~26年)で2度の優勝を果たし、最優秀コーチ賞を3度受賞している。

画像1: 豪州、イタリア、ハンガリー出身…国際色豊かなBプレミアのHCたち

宇都宮ブレックスは、イタリア出身のウォルター・デ・ラファエレ氏。母国のクラブで長くコーチを務め、欧州で数々のタイトルを手にしてきた。

画像2: 豪州、イタリア、ハンガリー出身…国際色豊かなBプレミアのHCたち

千葉ジェッツは、ハンガリー生まれのアドリアン・コヴァーチ氏を招聘。昨季はスペイン1部所属のバレンシアでアシスタントコーチとしてリーグ優勝とユーロリーグ4強入りを経験した。富樫勇樹と同い年(1993年生まれ)の33歳という若きヘッドコーチだ。

画像3: 豪州、イタリア、ハンガリー出身…国際色豊かなBプレミアのHCたち

シーホース三河にはBリーグ優勝経験を持つ安齋竜三氏が就任。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、ロイ・ラナ氏を迎えた。NBAサクラメント・キングスでのアシスタントコーチや、カナダ、エジプト、ヨルダンの代表ヘッドコーチを歴任。Bリーグで指揮を執るのは2シーズンぶりとなる。ディフェンスを積み上げてきた名古屋Dで「オフェンスの効率」を改善するビジョンを描く。

画像: シーホース三河・安齋竜三HC
シーホース三河・安齋竜三HC
画像: 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ ロイ・ラナHC
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ ロイ・ラナHC

長丁場のレギュラーシーズンでチームがどう進化していくのか。ベンチの指揮官たちのタクトに注目するのも、Bプレミアの大きな楽しみ方になるはずだ。

文=大橋裕之

新指揮官が就任したBプレミアクラブ一覧

東地区
•茨城ロボッツ:ポール・ヘナレ(長崎アソシエイトHC)
•宇都宮ブレックス:ウォルター・デ・ラファエレ(イタリア・カントゥHC)★
•千葉ジェッツ:アドリアン・コヴァーチ(スペイン・バレンシアAC)★
•アルバルク東京:ライアン・リッチマン(シーホース三河HC)★
•東京サンロッカーズ:ショーン・デニス(名古屋ダイヤモンドドルフィンズHC)
•川崎ブレイブサンダース:桶谷大(琉球HC)

西地区
•信州ブレイブウォリアーズ:ジャッド・フラベル(ニュージーランド代表HC)
•シーホース三河:安齋竜三(越谷アルファーズHC)★
•名古屋ダイヤモンドドルフィンズ:ロイ・ラナ(ヨルダン代表HC)★
•滋賀レイクス:フェルナンド・カレロ(鹿児島レブナイズHC)
•長崎ヴェルカ:ディーン・ヴィッカーマン(メルボルン・ユナイテッドHC)★
•琉球ゴールデンキングス:アンソニー・マクヘンリー(琉球AC)★

()は前職 / ★は昨シーズンのCS進出チーム

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