2026-27シーズンから新たにスタートしたB.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)。開幕から1カ月あまりが経過し、外国籍選手の同時出場制限を撤廃した「オンザコートフリー」の導入によって、日本人選手を取り巻く競争環境にも変化が生まれている。昨シーズンと比較すると、特に日本人ガード陣の出場時間減少が目立つ一方、出場機会を増やし、存在感を高める選手も。そのひとりが、アルバルク東京の平岩玄だ。新ルールのもとで日本人選手のプレータイムはどう変わったのか。数字と選手たちの言葉から、Bプレミア初年度の現在地を読み解く。

「オンザコート4」のルールに…日本人が1人だけの時間も

9月22日に、トヨタアリーナ東京で見たある光景は、Bプレミアでオンザコートルールが変更になったと強く印象づけた。アルバルク東京は第4クォーター途中、ディー・ジェイ・ホグ、キヨンテ・ジョンソン、ラクラン・オルブリッチの外国籍3選手に、帰化選手のライアン・ロシターを同時起用。コート上の日本人選手は小酒部泰暉のみとなった。

画像: 「オンザコート4」のルールに…日本人が1人だけの時間も

ここで、変更されたオンザコートルールをおさらいしておきたい。昨シーズンのB1では、外国籍選手2名と帰化選手またはアジア特別枠1名の「計3名」が同時出場の限度(いわゆる「オンザコート3」)だった。

しかしBプレミアでは「オンザコートフリー」へと改定された。外国籍選手が最大3名まで同時にプレー可能となり、そこに帰化選手またはアジア特別枠1名を加えれば、コート上の4枠を日本人以外の選手が占めることができる(実質的な「オンザコート4」)。この変更の背景には、日本人選手をより厳しい競争環境に置くことで個の成長を促し、日本代表の強化に繋げるという狙いがある。

数字が示すガード陣の苦境…プレータイム半減の選手も

では、開幕から約1か月で日本人選手のプレータイムはどう変化したのか。Bリーグ公式サイトのスタッツをもとに、2025-26シーズン(B1)と今シーズンの両方に出場記録がある日本人選手(帰化選手を除く)の平均出場時間を比較した(10月30日時点)。

改定前は「外国籍選手が増えれば、パワーフォワードやセンターといった日本人ビッグマンの出番が削られる」と懸念されていた。だが、今回の集計では、特にガード陣の出場時間減少が目立った。出場時間が3割以上減少した選手57人のうち、ポイントガード(PG)が27人、シューティングガード(SG)が17人を占めた。特にPGの減少幅は大きく、該当27人の平均出場時間は昨シーズンの17分36秒から8分29秒へとほぼ半減している。

昨シーズンの主力級も例外ではない。50試合以上に出場していたPGの中にも、出場時間が半減した選手や、3割以上減少した選手が見られた。HC交代に伴う戦術変更やチーム内競争など個々の事情はあるものの、今回の集計からは、日本人ガード陣の一部が厳しい競争に直面している状況がうかがえる。

「オンザコート4」が可能になったことで、サイズと機動力を兼ね備えた外国籍選手が増え、スイッチディフェンスを多用するチームが増加した。ミスマッチを突かれやすい日本人ガードにとって、守備で穴にならないことが出場の必須条件となっている。ディフェンスに難がある選手や、強いプレッシャーを受けてターンオーバーを連発してしまう選手は、どうしても出番が限られてしまうのが実情だ。

日本人ビッグマンの奮闘…A東京の平岩玄は出場時間が倍増

一方で、日本人ビッグマンの中には、出場時間を大きく伸ばしている選手もいる。大阪エヴェッサの竹内譲次は41歳のベテランながら、平均出場時間が昨シーズンの13分58秒から23分48秒へと増加。琉球に移籍した川真田紘也、仙台へ渡ったシェーファー アヴィ幸樹、佐賀の橋本晃佑らも出場機会を伸ばしている。

その中でも際立った活躍を見せているのが、アルバルク東京の平岩玄(#21)だ。200cm・105kgの体格を生かしてインサイドを支える28歳は、東海大学在学中の2017-18シーズンに特別指定選手として琉球でBリーグデビュー。2018-19シーズンに特別指定選手としてA東京に加入して以降、名門クラブでキャリアを重ねてきた。だが、リーグ屈指の選手層を誇るチームにおいて出番は限られ、過去に平均出場時間が10分を超えたシーズンはなかった(昨シーズンは45試合出場、平均5分38秒、0.9得点、1.2リバウンド)。

画像: 日本人ビッグマンの奮闘…A東京の平岩玄は出場時間が倍増

しかし今季は、12試合で平均11分35秒と出場時間が倍増。平均2.7得点、3.5リバウンドとスタッツも上昇している。圧巻だったのは10月8日のホーム・佐賀戦だ。21分52秒の出場でフィールドゴール4本をすべて成功させ8得点、さらにキャリアハイとなる10リバウンドを記録し、ダブルダブルに迫る活躍で勝利に貢献した。さらに今シーズンは新戦力のラクラン・オルブリッチが負傷離脱したこともあり、平岩にとって出場機会が広がる状況となった。そのチャンスを確かな結果につなげている。

8日の囲み会見では彼にメディアの輪ができた。「チャンスが来たら結果を残さないといけないと思っています。今日はそういうところがひとつできたので充実感を感じています」とコメント。今も昔も、A東京でプレータイムを勝ち取ることは「すごく自分にとって難しい」と認めつつも「最初から選んだ道なので」と前を向く。「いろんな人の支えのおかげで頑張れているので、きょうは良かったです」と表情を緩めた。

そんな平岩の成長に、ライアン・リッチマンHCも目を細める。指揮官は成長の背景として水野宏太トップACの存在を挙げ、三河時代にシェーファーの成長を支えた水野ACが、平岩に必要な指導を的確に行ってきた成果だと指摘。同時に、平岩の人柄も称賛した。

「彼が、そんな中でひたむきに努力する姿勢、やっぱり人間性が素晴らしい選手という部分もあります。そこ(=水野コーチからの指導)とかみ合って、しっかりといまの成長、彼のパフォーマンスにつながっているんじゃないかと思っています」

「コートに強いヤツが出られる」。シーズンはまだ序盤だ

Bプレミアのレギュラーシーズンは全60試合の長丁場であり、現在はまだ序盤戦に過ぎない。プレータイムを得ている選手はさらなる安定感を、出番が限られている選手は出場機会の奪取に向けて、燃えている。

平岩は、メディアから他チームの日本人ビッグマンがプレータイムを伸ばしている状況を問われて頷きつつも、地に足がついていた。チームの編成次第という見解を示して、彼は「コートには強いヤツが出られるというレギュレーションなんです。ただ日本人選手として、しっかりしてなきゃいけないと思っています」と語った。

画像: 「コートに強いヤツが出られる」。シーズンはまだ序盤だ

また、日本人選手にとって試練のレギュレーションを、奮起の糧にする選手もいる。京都ハンナリーズで4シーズン目を迎えたキャプテン・前田悟は、外国籍選手の比重が高まる中でも「京都は割と日本人選手のアテンプトが多いチームだと思うんですけど、外国籍選手に頼らずに、こういうチームがBリーグで勝つべき意義というものがあるんじゃないかと思っている」と、力強くコメントした。

一時的に出場時間を減らした選手が、限られた機会で意地を見せる場面も多い。例えばA東京の大倉颯太は、10月26日のアウェー・佐賀戦で16分34秒出場し、3Pシュート3本を含む12得点をマーク。ミスを出しながらも結果を残してみせた。

アスリートたちは自分がコントロールできることだけに集中し、日々愚直に準備を重ねている。大きなレギュレーション変更を経ても、「全員の力を結集した先に勝利がある」というバスケットボールの本質は変わらない。厳しい競争の中で日本人選手たちがどのような存在感を示していくのか、その証明のプロセスこそがBプレミア初年度の大きな見どころだ。

文=大橋裕之

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