リオネル・メッシやソン・フンミン、日本人選手では吉田麻也らが活躍することで知られているアメリカのサッカーリーグ、メジャーリーグサッカー(MLS)。
以前から、ズラタン・イブラヒモヴィッチなど大物選手が定期的に移籍していたことで注目を集めていた同リーグだが、前述したメッシのインテル・マイアミ加入などにより、ここ数年注目度はさらに増している。
しかしながら、英『Guardian』紙が、そんな絶好調のMLSを揺るがすスキャンダルを今週報じていた。
同紙が報じたのは、MLS加盟クラブであるフィラデルフィア・ユニオンのスポーツダイレクター、エルネスト・タナー氏による複数の不祥事だ。
具体的には、審判や相手チームの選手に対する人種差別的、性差別的、同性愛嫌悪的な発言や、クラブ職員への不適切な接触疑惑などである。
17名の関係者からの告発によると、タナー氏は黒人審判員らに対して「知性と能力に欠けている」と発言したほか、女性審判員に対して「男子サッカーに女性はふさわしくない」と言い放ったとされている。
これらの告発を受け、フィラデルフィア・ユニオンは19日に「MLSによる最近の調査では、スポーツディレクターのエルンスト・タナー氏に関する疑惑を裏付けることはできませんでしたが、MLSは組合に対し、調査を再開することを通知しており、組合は引き続き全面的に協力していきます。組合はタナー氏を休職処分としました」と声明を発表している。
一方でMLSは「MLSは最近、MLS選手協会から提起された申し立てに関する調査を終了しました。連絡を取った者の大半が参加した(数名は匿名で)一方、参加を拒否した者もいました。入手可能な全情報と文書を検討した結果、調査では申し立てを立証できませんでした。しかしながら、申し立ての性質を考慮し、タナー氏には改善プログラムへの参加が義務付けられました」と発表し、疑惑を否定している。
またタナー氏側も、疑惑を完全否定する声明を代理人を通じて発表している。
「エルネスト・タナーはこれらの告発を強く否定する。疑惑の一部は6~7年前のものだ。
過去7年間、フィラデルフィア・ユニオンのスポーツディレクターとして、タナー氏の強固かつ賢明なリーダーシップは、同クラブがサポーターズ・シールドを2度、東部カンファレンス優勝を1度獲得する原動力となった。
世界中のプロサッカー界で30年以上にわたるキャリアを通じ、タナー氏は多様で多文化な環境において公正かつ効果的に働き、高いプロ意識を維持してきた。
タナー氏は今シーズンのチームの成功とフィラデルフィア・ユニオンでの自身の仕事に誇りを持っている」
躍進するMLSを突如襲ったスキャンダル。今後の情勢に注目だ。
